恋愛における愛着理論。ざっくり4タイプを解説|愛着理論とは②
赤ちゃんの話の続きです。
痛い、怖い、不安、お腹が空いた、など、赤ちゃんが困難に感じる場面は色々あります。
そういった困難に直面しても、そばにいる養育者(例:親)がその苦痛を取り除いてくれる、安心させてくれる、自分にはその価値がある、という愛着の設定がきちんとできていれば、赤ちゃんは親から離れ、独立して自分の周りの世界を探求し始めることができます。親はいわゆる安全基地とされるものになるんですね。
でも、安心させてもらえない場合はどうでしょうか。たとえば、抱っこしてくれる相手の様子がおかしかったり、いつも怒っていたらどうでしょう。自分の気持ちや欲求を否定されるって辛いですし、何より怖いですよね、自分が生きるか死ぬかはその人にかかっているのに。
生き延びるためには、どうやって親の注意を引くか、もしくは親に期待せずに(信頼せずに)、いないものとして不安を処理するか、状況に合わせた戦略が必要です。親の精神状態や子への接し方、家庭の状態は様々ですが、それに対応できるように神経が発達した結果が、私たちの一部を形づくって、それを今日私たちは愛着タイプ、と分けているのです。
生後18~20ヶ月までに形作られ、固定された愛着タイプは、大人になった後の人生に多大な影響を及ぼすことがわかっています。ただ、単純にその時期だけ気をつけていればいいかというとそうでもないのですが。乳児期の影響が大だとすれば、幼児期が中、それ以降が小、そんなイメージを持っていただけるといいのかもしれません。
大人になってからの恋愛関係においては、自分が誰に惹きつけられるか、二人の関係がどう発展するか、そしてどう終わるかなど、愛着タイプを検証することによってたくさんのことが読み解けるようになるので、とても面白いです。
さてここでは4つのタイプ(型)についてご説明します。後でそれぞれについてもっと深堀りしていくので、今回はザクッといきます。誰でもこの中の1つにあてはまります。
安定タイプ(Secure Attachment)
恋愛関係やパートナーシップに対して満足度が総じて高いのが特徴です。パートナーといつも一緒にいなくても、常態的に安全性や絆を感じています。パートナーが安定タイプの関係を表すキーワードとしては、正直さ、援助、独立性、平等、深い感情的なつながり、信頼。そのほか、特徴としては以下です:
自分の欲求(ニーズ)や気持ちを抵抗なく相手に伝えることができる
自分の感情をコントロールする力に長けている
自分にとって何が受け入れられて、何が受け入れられないのかが明確で、バランス感覚に優れている
パートナーとの間に何か問題が起こった時、その場で解決することができる(コミュニケーションせずに後に持ち越すということがない)
不安タイプ(Anxious Preoccupied)
愛情に飢えている不安タイプ。場当たり的に感じることができる安心を本当の愛や信頼だと思うことが多くあります。心の奥底にあるのはパートナーに捨てられることに対する恐怖で、不安から相手に対して過剰に独占的になったり、相手に依存したりします。ただ、その行動はパートナーを遠ざけたり、関係を終わらせる原因にもなるのですが・・・。その他の特徴は以下です:
相手が自分に飽きていつか去ってしまうのではと不安
常に相手と連絡をとっていたい
独りになるのが怖い
自分に自信がない
恐れ・回避タイプ(Fearful Avoidant)
相手と親密になりたいけれど、接近しすぎると怖くなって距離を取ります。本人のムードが突如として変わることがよくあり、また、恋愛は険しく劇的になりがちです。恐れ・回避タイプのパートナーはそのジェットコースター的な関係に疲弊しやすく、それが別れにつながることもあります。恐れ・回避タイプは一緒にいる相手によって不安タイプの傾向に寄ったり、次に紹介する拒絶・回避タイプの傾向に寄ったりします。その他の特徴は以下です:
人が感じていることを察知するのが得意、気配り上手で献身的
裏切られるのではないかという不安
感情のコントロールが苦手(特に怒りの感情)
相手に対して優しく情熱的だったり、冷たく突き放したりと両極端
拒絶・回避タイプ(Dismissive Avoidant)
物理的にも感情的にもパートナーから距離を置きたがります。他人を通して自分の欲求を満たすということがなく、全て自分で解決しようとします。相手の悪いところに目がつきやすいのは、そうすることで感情的に相手と親密になりすぎることを避けているからです。拒絶・回避タイプのパートナーは親密さを感じることができず、自分は愛されていないのでは?と感じることが多くあるでしょう。その他の特徴は以下です:
自分一人のスペースや時間が大事で、相手との距離が近すぎると息がつまる気がする
人のコメントについて、自分が批判されていると捉えがち
自分の気持ちや感情に気づくこと、言葉にするのが苦手
先の予定について約束するのが苦手
安定タイプでなければいけないのか。
一般的に、それぞれの愛着タイプの人口割合について、欧米では人口の1/3が3つの不安定タイプ(安定タイプ以外)に当てはまると言われています。アジアや特定の社会的な条件が揃った文化の中では、回避型的であること(親密になりすぎない、感情を表に出さないなど)が社会的に主流だったりするので、不安タイプよりも回避タイプの方が多い、という専門家もいます。
ただ、実際にはどれか一つのタイプが強く出ているだけで、複数のタイプにまたがっていることの方が多いでしょうし、それぞれの特徴の出かたや程度は人それぞれです。安定タイプであったとしても、その人の人間関係に問題がないわけではありません。ほぼ全ての人は、人間関係に悩むことが人生の中で絶対ありますし、安定タイプ同士でも、離婚したりもします。
実際に、私は安定タイプではありますが場合によって回避傾向が出ることもありますし、また、HSPであるということも重なって、単純明快でやりやすい人間、とは言えません(あくまで恋愛関係においてですよ!)。
ただ、一つ重要なのは、自分がどのタイプであれ、私たちが赤ちゃんの頃に構築された愛着タイプは、その時、その状況に対処するために最良と思われたコーピング(ストレスに対する意図的な対処)の結果であり、何もおかしいことはない、ということ。
自分の傾向を把握して、次のコミュニケーションに活かすことができれば、きっと恋人との摩擦も減り、快適に過ごせるはずです。
次回からは、それぞれのタイプを深く掘っていきたいと思います。
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