リファーラル採用を成功させるには…愛が必要?
「優秀な人材が採用できない」最近、採用に関する相談を受けることが増えています。
そんな状況の中、定着しつつあるのがリファーラル採用です。リファーラル採用とは、社内の信頼おける従業員からの紹介による採用方法で、中途採用の場面でよく活用されています。古くから「縁故採用」ということはありましたが、どちらかといえば社内の幹部や取引先の要請に応じる、というイメージがあると思います。これに対して、一般の従業員からの紹介を通じて、広く良い人材を見つけ出し、採用につなげる方法として、認識されてきています。
リファーラル採用の特徴
《メリット》
①採用につながる確率が高い
自社に合う人材の見極めが早い段階で出来るため、入社の確率が高くなります。
②定着率が高い
社内の状況について紹介者である従業員がキチンと伝えていれば、入社後のギャップが小さく、定着しやすくなります。
③採用コスト削減
有料の人材紹介会社や求人広告を通じた採用と比べて、費用は抑えられます。
《注意点》
①組織的な取り組みが重要だが難しい
人材を紹介した従業員へのインセンティブやリファーラル採用を社内に周知させ、紹介者数を増やす方法、紹介者が採用プロセスにどう参画するのかなど、定着させるための設計が重要です。
②引き抜きなど法的な問題
同業他社や取引先の人材に声をかけることで、紛争につながる可能性があります。
社員からの紹介を促すためには
従業員が自分の友人などを紹介したいという気持ちになるには、自社に対して魅力と愛着を感じる組織風土であることが大切です。自分が働く職場、会社に誇りを持ち、自信を持って紹介できる状況でなければ、決して紹介してくれません。そのために必要なことはたくさんありますが、重要なポイントを3つ紹介します。
1.まずは、従業員が会社から「大切にされている」という実感を持てるように「安全・安心・健康」の維持に努めることです。
「健康で働けること」が「大切にされている」実感の大前提になります。
コンプライアンスや労働安全衛生への取り組み、働き過ぎや精神的に辛そうな人に気を配り、安全でない作業をしている人には注意をするといった、地道な環境整備が大切です。いくら給与や賞与で報いても、自分が大切にされていると思えなければ、紹介する動機にはなりません。自社を「ブラック企業」と考えている従業員が紹介するはずがありません。
2.二つ目は「仕事のおもしろさ」です。
給与や処遇にひかれる人材は同じ理由で他社へ流れますが、仕事を通じた楽しさは代替が利きません。製造業であれば独自の製品や技術の訴求、サービス業や小売業では職場や仲間の雰囲気、顧客に感謝されることのやりがい、創意工夫の楽しさなどかもしれません。「しんどいけど、面白い」とか、「大変だけど、お客さんに喜んでもらったら疲れは吹っ飛ぶ」という感覚が大切ですね。
3.最後に「具体的な条件を伝える」ことです。
「いい人がいたら紹介して」という会話は社内でよく行われています。でも、「いい人」の条件が合致していないケースは多いものです。上記、1.2の条件を満たしている職場で、社員も是非紹介したいと思っても、「具体的にどんな人材が必要なのか」情報がなければ紹介に至りません。「今回の募集は、どの職場で、こんな経験を持った人材を募集しているので、是非紹介して」というメッセージを出せば、社員も紹介しやすくなります。人数は多くないかもしれませんが、ピンポイントで紹介があり、採用に結びつく可能性が高まります。このことは、見落とされがちなので気を付けた方がいいでしょう。
自社では当たり前のことも、第三者には魅力になることもあります。一度、自社の仕事を見直してはいかがでしょうか。
リファーラル採用は、従業員を通じて、社内での取り組みや外部からは見えない良さを具体的に社外へ伝えることができる反面、従業員が「大切にされている実感」や「面白み」を感じていなければ機能しません。
どんな採用手法であっても、従業員が働きたくなるような地道な環境整備は不可避ということでしょう。
紹介してくれたら報奨金〇万円出す、というやり方に対しては???です。従業員への感謝の気持ちは、違う形で表現したいものです。