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さあ、『Dead Cells』をやるんだ。

セール期間中に紹介記事を書こうと思ったゲームを遊んでいたら、いつのまにかセールは残り5日を切っていた。この一週間、「牢獄」から旅立っては死に戻ることを繰り返している。

このゲーム ――『Dead Cells(デッドセルズ)』のことだ。9月9日の23:59まで40%OFFセールをやっている(DLCの入ったセット版は割引対象外なので注意)。発売してから2年経つが、アップデートは現在も続いている。ぜひ、あなたも買って遊んでほしい。

「ローグライク」であり「ソウルライク」

My Nintendo Storeの紹介文にあるように、このゲームは「ローグライク」と「メトロイドヴァニア」を合わせた「ローグヴァニア」とでもいうべきゲームだ。すこし分かりやすく説明すると「不思議のダンジョン」と「ロックマンX」が合体したようなゲームということだ。プレイ毎にランダム生成配置されるマップ、アイテム、エネミー。軽快なサイドビューアクションや、解放される度に探索可能域が広がる新たな能力。

そして実際にやってみると分かるが、「ソウルライク」でもある。「ソウルライク」の定義は実際のところ曖昧だが、『Dead Cells』はとにかく『DARK SOULS』を感じるゲームだ。このゲームの主人公はまるで『DARK SOULS』のように「牢獄」で蘇り、多くの武器から好きなものを選んで振りまわし、ソウルシリーズでおなじみの雰囲気の、世界の謎が散りばめられたステージを辿ってゆく。そして何度も死ぬ。同シリーズのファンとしては、実にしっくりと馴染む作りになっている。

最初の立ち姿

そう『Dead Cells』の特筆すべき点は、「ローグライク」と「ソウルライク」という絶対に合わない2つ(あるいは3つ)のゲームジャンルの鮮やかな融合にある。

これは本当に凄いことで、なんと言っても「ローグライク」と「ソウルライク」の相性は最悪だ。これは当然で、「ローグライク」はランダム生成されたダンジョンで出会う法外の幸運を喜び、埒外の理不尽を知恵を絞って打開するゲーム。一方の「ソウルライク」(そして「メトロイドヴァニア」)はふつう、練りに練られたダンジョンを探索し、エネミーやアイテムの配置に唸るゲーム。そう、ある意味で全く正反対のゲームなのだから。

この両者が合わさったゲームなんてものは存在が矛盾している。しかし、プレイすれば確かにこのゲームは「ローグライク」であり「ソウルライク」だと分かる。『Dead Cells』は見事にやってのけた。

で、どんなゲームなのか?

具体的なゲームの描写をしよう。『Dead Cells』の舞台はタイトル画面に出てくる怪しげな島だ。主人公はどう見てもニンジャ・タートルズ的な、いわゆる「NINJA」の姿をしていて、実際「NINJA」的な動きをする。しかし、実のところ海藻のようなものをくっつけたスライムのようなナニカが本体だ。それが囚人の死体に寄生したのが、この「NINJA」然とした主人公である(なお、これはゲーム冒頭でいきなり明かされる)。

主人公の正体はこのゲームの世界の謎と大きく関わっていそうだし、私も完全にクリアしたわけではないので実はよく分かっていないが、何らかの使命があるらしい。とてもダクソっぽい。とにかく、プレイヤーはこのNINJAを操り、ダンジョンを探索し、敵を倒し、斃されて死んだら何もかも失い、スライムだけが元の「牢獄」に戻ってきて、またNINJAとなって旅立つ……というわけだ。

やるべきことがある

何もかも失う……と書いたが、残るモノもある。手に入れたアップグレード(プレイモードの追加や行ける場所を増やす能力の解放)と、武器・スキルなどのアンロック状況、そしてプレイヤー自身の経験値だ。何度も冒険を繰り返してこれらを少しずつ増やしていくのが、新たに『Dead Cells』を始めたプレイヤーの当面の目標になるだろう。

ワンプレイはすぐに死んでしまえば数分だが、上手く事を進めれば1時間前後だ。ゆっくり慎重に進めば、2時間くらいかかる人もいるかもしれない。冒険はオートセーブで、中断は自由。ちゃんと中断した地点から再開できる(周りに敵がいる状況で中断すると再開後すぐに襲われるので注意!)。展開が気に入らなければリスタートしてもいい。そうしてプレイヤーはこの島の謎を解き明かしていくことになる。

オススメの武器はバール

「ローグライク」や「ソウルライク」の魅力と言えば自由なキャラクタークリエイトだが、残念ながらこのゲームに好きなNINJAを作る機能はない。そのかわり、多彩な武器種とそれぞれ固有のアクション(そしてスキン)がある。このアクションの作り込みが『Dead Cells』の面白さを支えていると言って良い。そのくらい出来が良いし、気持ちが良い。

プレイヤーが最初に渡される武器は「折れた直剣」ならぬ「錆びた剣」だ。ああ、とてもダクソっぽい。この武器はモーション自体は悪くないが、何も能力を持っていない。すぐにもっと良い武器や「設計図」が手に入るので、色々と試してみるのが良いだろう。大抵の武器は適切な戦い方をすれば実用に耐えるバランスで「一部の武器しか実用的ではない」なんてことは無い。好きな武器を使おう。

『Dead Cells』には、剣、槍、斧、鞭、拳……様々な武器が用意されている。少しネタバレになるが、私のオススメはバールだ。一見ネタ武器のようだが、実際強い。この武器は「扉を破るとしばらくの間、強くなる」という能力を持っている。そして、このゲームには「扉を作るスキル」が存在する。つまり、所構わず扉を作って、その扉を自分で破り、その勢いのまま敵に大ダメージを与えることができる、ということだ。何だかよくわからないが、楽しいことは確かだ。

バール

このように、『Dead Cells』では武器・スキル・変異のシナジーを考えるのが大事だし、そのように遊ぶのがとても楽しい。武器には固有の能力の他にランダムで付与される能力があるので、一見シナジーの無い組み合わせがランダム能力次第で強力なタッグになったりするのも面白い。

ここら辺は「ローグライク」の中でも「Angband系」の影響が強いのだろう。『Angband』はトールキンの『指輪物語』をベースにした「ローグライク」で一派をなしているが、『Dead Cells』に出てくる換金アイテムの「アメジスト」のフレーバーテキストには『指輪物語』のゴラムのセリフが書かれていたりする。いとしいしと……。

カスタムモードのススメ

新たにアンロックした武器やスキルには、自分にピッタリ合うものも、イマイチ強さが分からないものもあるだろう。中には明らかにデメリットが大きいものもある。様々な武器やスキルをアンロックするうちに、プレイヤーはこう考えるかもしれない。

「新しい武器やスキルをアンロックするたびに、狙った武器やスキルが入手しづらくなりそうだ……もしかして、弱い武器やスキルはアンロックしないほうが良いのでは?」

実は、こうした問題は『Dead Cells』にたしかに存在する。普通「ローグライク」では入手可能なアイテムの数が単純に増えると難易度が上がる。このゲームもその例に漏れない。よって本来報酬となるべき「新たな武器・スキルのアンロック」がプレイヤーにとって攻略上のデメリットになってしまうのだ。アンロックした武器・スキルが増えてくると、伸ばしたステータスに対応した武器・スキルが全く出てこないことだってある。

もちろん、『Dead Cells』にはこの問題に対する回答もしっかり存在する。

ゲームを少し進めると「カスタムモード」がアンロックされるはずだ。これが上記の問題への回答だ。「カスタムモード」は出現する装備などを(既にアンロックしているものに限り)自由に設定することができるモードだ。ある程度ゲームを進めて出現する装備・スキルが増えてきたら、カスタムモードへの移行を検討すると良いだろう。

タイトル画面_カスタムモード

注意してほしいのだが、この「カスタムモード」では極端に有利な設定をした場合、そのプレイでは実績を取得することができない。具体的には、アンロック状態の装備・スキルの数が20未満の場合だ。また、初期装備を設定したり、ゲームが進むと他の有利な設定をすることも可能だが、これも実績の取得ができなくなる。

裏を返せば、絶対に出てきてほしくない装備やスキルの出現フラグをいくつかオフにするくらいは通常のゲームプレイの範囲内、ということだ。むしろ、装備・スキルをアンロックする度に不利になる仕様を補うための措置と考えるべきだろう。様々な装備・スキル・変異のシナジーを楽しむため、カスタムモードを積極的に利用することを私は勧める。そして、どうか安心して「新たな武器・スキルのアンロック」をしてほしい。

カスタムモードはプレイヤーに不利な設定をすることも可能だ。そちらのほうが細かく設定できるといっても良い。普通のプレイに飽きたら、カスタムモードでより危険な探索に出かけるのも一興だろう。

書きたいことは他にも色々あるが、今回はこれで筆を置くことにする。

最後にもう一度、My Nintendo Storeのページを貼っておく。本当に面白いので。ぜひ遊んでほしい。さあ、『Dead Cells』をやるんだ。

(2020/09/05)

#deadcells   #ゲーム #Switch #感想 #レビュー

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