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ia19200102
師弟 #毎週ショートショートnote
わしも長年生きてきて、若いもんに教えてきたが、まさか恋文の書き方を教える日が来るとは思ってもいなかった・・。
師匠!わたしだって、誰かに教えてもらうなんて思ってもみませんでした。私には文才がありません。師匠の人生経験から紡ぎ出された言葉で、振り向かせたいのです。
そうじゃな・・まず、ちいと自己紹介じゃ。そして、思うようになったきっかけからの、共通の思い出・・で、伝えたい思いや、願わくば希望も書いてみる。で、どうかの。
ありがとうございます、師匠!相手の胸ぐらを掴むのは得意なのに、心が掴めなくて、どうしようかと途方に暮れていました。書けたら、見てください。
いや、そんな野暮なことはできん。自分と相手の中に秘めることも、恋文じゃ。他人に見せるもんじゃあない。
よし!書けた。彼に渡さなくちゃ・・。
お、今日は満月か・・・男は独りごちて窓を開けた。
ヒュッ、ダンッ!
何かが飛び込んできた。
振り向くと、”白羽の矢”が刺さっていた。
(410文字)
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