苦手なビールが飲みたい店
企業のnoteには、その企業の作っている商品の裏話や、展開しているサービスの誕生秘話などが登場する。
さらに、多くの企業noteで共通しているのは、中の人の顔を見られること。ホームページを覗きにいくでもなく、自分で探しもせず、タイムラインに流れてきた投稿に入ると、企業というよりも、人が話している感じがするので、ぐんぐん読んでしまう(読んでいいのだけど)。
そんな投稿を巡っているうち、懐かしい記憶が呼び起こされた。
お酒をあまり飲まないし、ビールは苦手な僕だけれど、あるビアレストランだけは、また行きたいと思っている。
それは、キリンシティだ。
これから紹介するnoteを書いたキリンのプロフに、とても大切なことが書いてあった。
読み手としての自分はもう、二十歳なんて遠い昔だけれど、この記事をシェアしたとき、もしかしたら僕をフォローしてくださっている方には未成年の方もいるかも知れない。
申し訳ないことだけれど、二十歳以下の方は、ここで回れ右をしていただきたい。ごめんなさい。
僕が、心を掴まれた投稿はこれ。
まだ結婚していない頃だったと思う。
「ほんとうに一杯だけ呑んで帰ろう。」
同期が声をかけてきた。
お酒に弱く飲み会が苦手な僕とどうにかして飲みたい、と思った(らしい)同期が考えたのは、間違いなく美味しいビールがあって、程よくおしゃれで、職場の人が来ないであろうお店に、1時間だけ行くプランだった。
名前だけは知っていたけれど、どんな店か知らなかった。乗り換え駅から少し歩いたビルの2階、ちょっと隠れ家みたいな感じのキリンシティだった。
入ってみると、せせらぎのような静けさ。居酒屋のガヤガヤした空気もなく、変に気取った装飾もない、落ち着けるお店だった。
普段からビールなんて飲まないし、たくさんも飲めない。でも、美味しいものが飲みたい。その気持ちは、テーブルに置かれたメニューに書いてあるこだわりや、初めて見たビアグラスによって、実現できると思った。
重たいジョッキを上げたり、ピッチャーで注ぐビールではなく、僕のために注がれた、僕だけの一杯。弱いからすぐに顔は赤くなったけれど、なんとも言えない満足感があった。
そんな喜びを覚えたら、安心して行ける店になる。また行きたい店になる。同期にと何度か通うように行った。1時間だけ・・の約束が、たまには1時間を超えてしまうこともあった。
今となっては、同期とどんな話をしたのか覚えていない。同期とは職場も離れ、公私ともに色々とあった。
飲み会が開かれなくなって数年、苦手から遠ざかって安心している自分もいるけれど、美味しいビール1杯だけなら、誰かに誘われたいし、誰かを誘ってもいい。
もちろん、お店はキリンシティで。