エッセイストのエッセンス #3
【この投稿の目的】
名乗ったからには勉強したいということで、少しずつエッセイを読んだメモ。不定期シリーズ。
芸術の秋、ということで、アート小説でお馴染みの作家さんのエッセイを読んでみました。一枚の絵画から紡ぎ出される宇宙、そんな作家さんのエッセイもまた芸術的・・とも言えなくもない、食べ物たちで溢れていました。
エッセイは、その筆者の個性が垣間見える作品です。前回の小川糸さんは、作品で見せる細やかな表現が、食べることをキラキラと輝かせるような、お腹が空くというよりは、羨ましくなるような、そんな読み終わりでした。
今回の作家さんは、普段はとても目まぐるしく動く方なのか、おしゃべりな方なのか、伝えたいことが多すぎて、息を注がずに沢山話している感じで、ある意味では読み応えのあるエッセイでした。
文字が多いのに、ラジオ聞いてるみたいに、軽々と読んでしまいました。芸術の秋・・のつもりで、この作家さん選んだけれど・・食欲の秋・・ですかね。
やっぱり食べに行こう。
原田マハ
作家の創作活動のために、取材は欠かせない、という筆者の徹底ぶりはすごい。現地に行って、景色を見て、話を聞いて、歴史をたどる。そんな追体験をもとに、臨場感と温度感のある物語が生み出されているのだと思うと、この作家に出会えてよかったなぁとつくづく感じるのです。
そんな徹底取材のお供、むしろ目的になっていると僕は思いました。それが「食べ物」なのでした。その土地で出会う料理、気の置けない友人とのグルメツアー、取材をオンだとして友人との時間をオフだとしても、オンもオフも食べ続けている・・そんな作家の行動力と胃袋に驚かされます。
100以上の話が収録されていて、登場する料理の美味しそうなこと。とても印象に残っている話(食べ物)を紹介させてください。
何よりも安くて早くてうまいものがある。そして、こればっかりは世界のどこでも食べられない、まちがいなく世界一だ!と私の中で「世界一認定食」となった食べ物、それはベーグルである。(ニューヨークのベーグル)
旅行歴があり、とても共感しました。僕も数日の滞在でしたが、朝ごはんにベーグルという選択が多かったように思います。NYの水で作らなければNYのベーグルではない、と言われているくらいに現地のプライドにもなっているベーグル・・また食べたい。(ニューヨークをNYと表記したくなるの、僕だけでしょうか)
九谷焼の大皿にさっと盛り付けて、ハイ!どうぞ。悶絶のうまさ。(越前がにのチャーハン)
冬の金沢の味覚、そして21世紀美術館への期待、北陸の厳しい冬をも「美味しい記憶」に変える底力に、和食の伝統的なポテンシャルを垣間見た思いです。金沢・・お寿司を動けなくなるほど食べて、近江町市場を散歩したい。あ、チャーハンは和食じゃなかった(笑)
彼女の十八番は「地中海ライス」。二十代の頃にアルバイトしていたイタリアンカフェのオリジナルメニューだ。ガーリック風味のトマトソースで魚介類を煮込み、それをほかほかの白いご飯にかける。パスタではなく、白いご飯が決め手なのだ。(友の手料理)
食べたい・・。これを書いているのは夜中だけれど、これは美味しいに決まっている。だって、煮込んでいるし、白いご飯にかけているし。国民食とも言われている、カレーのトマトソース版のような料理なのか・・気になる。つい、料理名で検索してしまう(笑)
取材の旅、それは食との出会いでもあり、物語の推進力となる作家の命につながる旅なのかも知れないと思いました。
気持ちよく食べて、ときどき思い出しては、景色や会った人を思い出す旅。作家が出会う一皿が、手の届かない料理ではなく、読み手にとって身近であったことも、これからの物語を面白くさせるのかも知れません。
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