逆輸入
妹や弟が生まれたわけではないし、ひとりっ子ではなく、末っ子と呼ばれるような下の子の話。
まだ1歳半だというのに「赤ちゃん返り」をしました。うそでしょ。繰り返しますが、さらに下の子が生まれたわけじゃないのです。
赤ちゃん返り・・子育て界では「兄弟が生まれる」と聞けば「赤ちゃん返り」と返ってくるような、あいさつのようによく知られている言葉です。
上の子が、保護者の注目を集めようとするために、幼く装おう発想や、その行動などのことを指して言ったりします。つまり、赤ちゃんの真似。
それを、何故1年前までは赤ちゃんだった子が実践するようになったのか。まだうまく言葉も操れない、まして、ようやくスタスタ歩くようになったくらいの行動範囲なのに。
この話には、もうひとり重要な登場人物が必要です。
そうです、上の子です。
赤ちゃん返りをするのは、上の子というのが定説ですので、下の子が生まれた時、それはそれは大いに赤ちゃん返りを始め、いまも絶賛”返っている”ところです。
もはや上の子は5歳で、相当に意識を持って赤ちゃんに返っているため、設定も明確にしてから、返るタイミングを告げます。
「いまから、ゼロ歳のバブね」
バブは、あえて説明しなくても分かると思うのですが、赤ちゃんの象徴的な発語ですね(入浴剤ではない)。だから、このセリフを皮切りに、ハイハイをしたり、「バーブー」とイクラちゃんのような言動になります。
ただ、「おやつ食べたいバブ、テレビ観たいバブ」とか、ゼロ歳児とはいいがたい要求もあるため、抱っこやおんぶなどの対応をすることになります。
そんな上の子が、赤ちゃん返りをしている最中、下の子のことを「バブ〇ちゃん」(〇には兄や姉を充てる)と呼びます。それを聞いて、下の子はニヤリとするだけですが・・。
ある日、下の子は気がついたのです。
「バブ」って言うと、お母さんやお父さんが抱っこしてくれるんだ!
下の子にとって、バブ、は魔法の呪文でした。
最近抱っこしてくれなくなったよなぁ・・
(注釈・本人が歩きたがって、抱っこを嫌がる。)
そんな時、「バーブー」と唱えてみると、苦笑いを浮かべたお父さんやお母さんが、抱っこしてくれる!これだ!
かくして、我が家には赤ちゃんが2人になる時があります。だいたい、夜の寝る前あたりが出現確率が高いです。
子どもの学びが模倣からだとするならば、上の子の模倣をして、赤ちゃん返りを果たした下の子の、観察眼。
これが下の子だ、とたった一年そこいらで教えてくれました。
赤ちゃん返りの逆輸入を始めた。
まもなく、いっさいはん。