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Photo by
satomigoro
馬力 #毎週ショートショートnote
群雄割拠の時代、戦いによる自らの力の誇示と、兵力の増強による覇権争いによって、個人と個人の友情のような繋がりづくりは、困難を極めるものとなった。
領地の獲得のため、血気盛んな武士たちは好戦的であったし、物理的に距離のある者がお互いを知る機会など、やはり戦いの場でしかないように思われた。
しかし、とある地方に、馬を育てることに長けている村があった。
馬の特殊な能力を見出し、人間にも勝るその力を発揮させるために訓練を行うのだ。血の気の荒い武士に乗られようとも、その培った能力は消えることがなかった。
その馬には、兵としての戦いのため能力のほか、馬本来が持っている社会性を引き出す訓練がされていた。
戦場で、会い見える時、乗っている武士は馬を捨てられない。その特徴を活かして、馬同士が目に見えないコミュニケーションを駆使して、騎乗する武士同士が友情で結ばれるよう仕向けるのだ。まるで、自動操縦のように。
「馬が合う」という言葉の語源である。
(440文字)
※もちろん、これはフィクション(嘘)です。
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