ロマンティックあげるよ #書もつ
図書館の福袋シリーズ。その2
「雑貨」をテーマにした福袋に入っていた3冊のうちの2冊目です。雑貨って、職場に持って行ったり、引き出しにしまっておいたりするものではなくて、手元にあって、使ったり眺めたりするのが醍醐味だと思うのですが、それはつまり「暮らす」ことなのですよね。
思いがけず、3冊のうち2冊が「雑貨と暮らす」というフレーズが書名に含まれていました。雑貨と暮らしたいですよね、暮らしの中にあるからこそ、雑貨、ちょっと強い言い方をすれば、よくわからないけれどいいもの、みたいなニュアンスでしょうか。
真っ白な背景にレースを敷いて小さな装飾品たちを並べた表紙。これは間違いなく、夢見る乙女のそれだ!と開いてみると、果たして厳選された雑貨たちが丁寧に紹介されていました。いつの時代でも、こういう丁寧な暮らし標本みたいな本ってあるんだなぁなんて、思いました。
ロマンティックな雑貨と暮らす
柳沢小実
これもまた先週に紹介したものと同じように出版年をみてみると、2008年と、やや古めでした。わかりやすいところでは、北京オリンピックが開かれた年でした。
個人的には、初めてのぎっくり腰をして、1週間ほど仕事を休みました。兼ねてから思い悩んでいた「会社を辞める」ことを実行したのも、この年。そして、社会的には、リーマンショックもこの年でした。
筆者の「道具として日常的にきっちり使う」と書いていた言葉に、何かほっとするような気分で、それぞれのページを眺めて行きました。
女性の視点で、丁寧に紹介されているためか、どれも高価な品物のような気がしてきました。金額を載せるのは本意ではないだろうし、そういう本ではないのですが、こだわりの感じられる雑貨たちは、気軽さというよりも、僕はやや近寄りがたさのようなものを感じてしまうのでした。
驚いたことに、この本でも、先週の投稿で紹介した「鳥の形をしたハサミ」が登場しました。確かに、これを見つけたら買ってしまうだろうし、機能としても一級品なので紹介したくなるのでしょう。
化粧品、古着、インテリア、食器、どれをみても妥協なんて感じられないのに、最後のカトラリーに添えられていた言葉は、「食べものを運び、口にふれる、カトラリーに手抜きは禁物」とあって、もう降参…!といった気持ちになりました。ストイックな雑貨の世界。
ただ、ロマンティックな雑貨ということからか、アンティーク雑貨を好んで手にしている印象を受けました。手抜き、が何を意味するのか分かりませんが、個人的にはカトラリーがアンティークというのは、デザイン的にはおしゃれですが、実用的には衛生面というか機能面というか、ちょっと気になるなぁなんて意地悪を思ってしまいました。
おまけのように巻末に収められていたお菓子のページには、デメルやオーボン・ビュータンなどの名店が。いや、さすがです。
雑貨、底知れない魅力というか魔力のようなものを感じるのでした。