梅は咲いたか、桜はまだか
季節の移ろいを表していると思いきや、本来は歌の中の言葉で、しかも女性的な話し言葉のよう。もう少し違う語尾になりますが、なんとなく有名な伝統的なフレーズです。梅が咲いたら、さて次は桜ですか?みたいな意味になるでしょうか。
意味を調べてみたら、お座敷歌として歌われていることが多く、芸妓さんたちを花に例えて言葉にしているのだそうです。
桜の開花が宣言され、それは大々的にテレビなどで報道されるため、桜については開花時期とか満開の時期がある程度は情報が入ってくるのですが、そのほかの花が咲くタイミングって、意外と近くで見ていないと分からないものですし、何より「知りたい」なんて思わないものかも知れません。
2月に入ってから、職場の近くの梅の花が開花し、日によっては外に出ると、その花の香りが感じられることもありました。ちょっとした名所のような場所には、日を追うごとに人が増え、普段はみないほどの人影を感じることもありました。
そして3月に入って、寒さの中にも暖かな日がしっかりと入ってくるようになると、なんとなくピンク色の花・・・桜に注目が集まります。
桜の中でも早咲きの品種として有名なのは、河津桜です。僕は菜の花とセットで見られる伊豆の名所に旅行に行ったことがありましたが、それはそれは寒くて、当時はあまり咲いていなかったような(笑)
その伊豆で河津桜が咲いたとニュースで報道される頃に、職場で鳴った電話をとってみたら、「○○新聞に、そちらの河津桜が紹介されていたんだけど、もう咲いてるの?」という問い合わせ。
まさかこんな問いがあるなんて想像もしていませんでした。地図などで、桜が植わっている場所はなんとなく見つけることはできるのですが、咲いているかどうかは分かりません。
例年の開花時期を同僚に確認したり、近辺を撮影した写真を探してみたりして、なんとか答えることができました。
また別の日には「来週、河津桜を観に行きたいんだけど、まだ咲いているかしら・・」という問い合わせがありました。
「わたくし、花じゃないので、分かりかねます・・」と言いたいところを堪えて「自然のことなので、お早めに来ていただけたらよろしいかと」と答えたこともありました。
この時期は、桜だけではなくて”雪柳”という白い小さな花をたくさんつける木が見頃を迎えます。背の低い木で、木全体が雪で覆われたように白く花がつくので遠くから見ると、白いおまんじゅうが並んでいるようにも見える並木道。多く植えてある場所の景色は壮観で、背景にして写真を撮ると、とても幻想的な写真になるのです。
「雪柳のきれいな場所までの、行き方を教えてください」
電車で1時間以上かかる遠方に住む方から、観に行きたいと問い合わせの電話があったことも。まず、綺麗に見える場所も知らなかったので、慌てて同僚に確認しました。
以前からいた同僚は「この時期になると、そういう問い合わせが増えてくるんだよねぇ・・」と呟いていました。まさかの風物詩・・。餅は餅屋じゃないけれど、河川敷の自然の営みを網羅しているかというと、なかなか難しいよねぇと思うのでした。
とはいえ、また来年になると僕も「今年もこの時期になったか・・」と思うのでしょうけれど。
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