対照 #毎週ショートショートnote
え?何その格好?
待ち合わせ場所に現れた彼女を見て、いや着ているTシャツを見て、驚いた声を上げてしまう。
胸元から腰に伸びる白いキャンバスに、モネのような印象派によく見られるタッチで描かれていたのは、紛れもない彼女の顔だった。
絵がうま過ぎる。いや、そうじゃない。
何だって自分の顔を描いた服を着て外に出てるんだ。ハート強すぎるだろ。
周囲の視線は、絵のうまさに驚くというよりも、同じ顔に引いている感じだ。も、もちろん可愛いから、俺的には嬉しいけど。
よく見ると、古い写真に印刷されていたようなデジタルの日付が右下に添えられていた。
「先週の…日付だ」
俺が呟いたのを聞いた彼女が言った。
「これが、先週のわたし。そして、ここにいるのが今のわたし。ほら、何か気がついたりしない?」
先週のデートで、髪を切ったことに気が付けなくて、帰りぎわに怒らせたんだった!根に持ってる…
「か、髪は先週だろ。誕生日は来週だし、あ、メイクとか変えた?」
(420文字)
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