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zuckinside
応接 #毎週ショートショートnote
「あらぁ、いらっしゃい。ちょっとぉ、目なんか腫らしちゃって大丈夫ぅ?」
白いシャツを着て、端正な顔立ちをした、個性的な口調の店長が出迎えてくれた。ここは失恋サロン。私は、ずっと付き合ってきた彼から昨日フラれた。親友が、脅威の洞察力でこのサロンを教えてくれた。
「イマドキね、失恋したら髪を切るなんてナンセンス。髪は切るんじゃなくて、変えるものよ。アナタは、まだ序の口のピヨピヨちゃんだから、Aのコースがいいわ。」
壁には、サロンのメニューが書かれていた。失恋の程度によって、提供するコースをご提案します…か。
A・ダメージシャンプー
B・チャレンジリンス
C・リベンジトリートメント
メニューを見て愕然とした。微妙に韻を踏んでいる…いやそこじゃない。リベンジって…え、復讐って意味だよね。それってどんなコースなんですか。店長に問うと、ニコリと笑って言った。
「警察沙汰になっちゃったから、いまはやってないの〜」
(440文字)
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