独白　#毎週ショートショートnote

正直、水晶玉なんて飾りだから、見えるはずなんてないのよ。
でも、占い師っぽいし、なんでも言えるから目の前に置いてるだけなのに、あの時だけは、ちゃーんと見えたんだから。

あの子…何をしたらいいのか分からないから、髪染めたーとか言って、ギター背負ってたんだから。もう自分でも決めてたんじゃないのかしら。

ふだん、水晶玉の表面に歪んだ自分の顔しか見えないのに、四人くらいでバンドを組んでた残像が映ったのよ、もうびっくりしちゃったわ。占い師のくせにね。

そのころ彼女は高校生で、大学に行っても何を勉強したらいいのかわからないとか、友達が出来ないんじゃないかとか、彼氏が欲しいとか、悩める女子の教科書みたいなこと言ってたわ。あれ…、詞のためのフリだったのね。

あの子が、あんなになるなんてねぇ。MEZASHIって、サカナみたいな名前よね。音楽って占いに向かないのよ。その人のセンスと技術がマッチして、しかも世間に求められないといけないから。

私も、こうして話を聞かれるなんて、占い師のくせに予想してなかったわよ。

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#毎週ショートショートnote #バンドを組む残像 #占い