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Photo by
yuichiono
化身 #毎週ショートショートnote
ある朝、学校へ行く道のりに、それは現れた。
朝日を浴びて、颯爽と、そして優雅に目の前を通り過ぎていった。もしかしたら、それは幻だったかもし
「あー!!
黒猫が横切ったー!
やべーぞ俺ら、今日もう終わった。
もうだめだ。しぬー。」
心の中で言い終わる前に、隣のバカが大声を張り上げた。うるせえな。あ、汚い言葉使っちゃった。
ママなんているはずないのに、後ろを振り返って確認してしまう。心の中だから、誰にも聞かれていないのに、我ながら真面目だ。
黒猫は大声に驚きもせず、塀に飛び乗り、さっと内側に飛び降りてしまったようだ。
「兄ちゃんがさ、見たんだって。
弁天堂の下のところに、おっきな猫。」
島には、たくさんの猫がいる。車を運転するパパが、飛び出してくる猫が心配と言っていた。
「パ、お父さんが猫怖いからって、かもしれない運転?してるって言ってた」
「怖いって、大人なのに?
…弁天堂のは、化け猫じゃないよな。
どっかの飼い猫か…」
「弁天様って神様らしいから、
猫は、もしかしたら弁天、かも」
「はぁ?おま
ミャア
僕たちの後ろで、黒猫が鳴いた。
(450文字)
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