廊下 #毎週ショートショートnote
いつの時代に作られたか知らないが「友達以上恋人未満」なんて言葉がある。
いまの俺にピッタリだ。
中学の頃から好きなアイと、廊下を歩いている。
しょうもない話で、爆笑するアイ。きっと俺の気持ちなんて・・。
「ショウ見て、なにあれ?」
アイの声の向こう、廊下の隅に、魔法のランプらしきものが転がっていた。
「演劇部の小道具じゃね?」
拾い上げてみると、ずっしり重く、金属のヒヤリとした質感が手の平に広がった。
「アラジンは魔法のランプを擦りました・・って、こんな感じ?」
不意にアイの手が伸びて、俺の持つランプを撫でた。視線がぶつかる。グッジョブ、ランプ。
「あ、おいやめとけよ。結構汚いぞこれ。」
そう言いながら俺はアイに近づいた。と、同時にランプから白い煙が吹き出してくる。あっという間に、目の前に、絵本から飛び出したような魔人が現れた。
「私は、放課後ランプの魔人です。お呼びでしょうか、ご主人様」
「お、おう。ご主人の願いを叶えてくれるのか?」
魔人に驚きつつ、下心のある俺は冷静を装って、絵本で読んだ展開を期待して聞いた。
「いいえ。あなたではありません。ご主人様はランプを擦った方です。」
(480文字)
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