保育園の行事 #毎週ショートショートnote
「きょうは”でんとうてきなスポーツ”を、みんなでやってみようねー!」
元気な声が響く。元体操のお兄さん、マコトさんが保育園にやってきたのだ。
4歳児クラスのカエル組の子どもたちは、初めての行事に興味津々。
5歳児クラスのウサギ組の子どもたちは、ソワソワ落ち着きがない。
6歳児クラスのサル組の子どもたちは、テレビで見たお兄さんに大興奮だ。
「みんなげんきに、たいそうできたかなぁ?」
・・ハーイ!!
子ども特有の間合いで、返事をすると、園庭に描かれた土俵の周りに子どもたちが散らばった。
「はっけよーい、のこったー!」
マコトお兄さんの掛け声とともに、園児たちが集まって、2週間ほど前から練習していた子ども同士で相撲の真似をする。勝ったり負けたりするが、それぞれ遊びの延長で子どもたちは大笑いしている。
園長ですらその由来を知らないが、とにかく伝統的に行われている、平和な行事だった。
後年マコトお兄さんは手記の中で、現代的な動く鳥獣戯画を観ているような行事だった・・・と振り返ったのだった。
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