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いまさら、なおさら、ことさら

フォローしている豆島圭さんの投稿で見つけたのは #創作大賞いまさら感想 なるタグでした。”いまさら”を除けば、公式のタグになるけれど、それは応募期間(7月31日)を過ぎており。

付けることを禁じられているものではないけれど、公式の支障になるだろうし、紛らわしいことはしないほうが良いと思うのです。

かといって、いきなり感想文を書くのもどうかと、不安なのです。悪いことを書くわけではないけれど、免罪符のような、挨拶のような意味合いのタグとして、使わせてもらいます。

創作大賞応募作品、僕も読み残している作品がいくつかありました。新しく目に入ることもありました。たくさん読んでいたわけではないから当たり前なのだけれど、こういうのも巡り合いというか、運なのかなと思うのです。

昨年、ベストレビュアー賞をいただいて、感想文を書いた方の中から何人も受賞されたのは、その方の実力であることは間違いないけれど、そういう作品と出会うのは、完全に運だったと思っています。

その作品に運良く出会えた、と思うのです。


応援期間を終えてから読んだ作品を紹介します。

真夜中にだけ営業するパン屋…行ってみたい。第一話がメロンパンから始まるのも好きでした。中学生くらいの頃、メロンパンにハマって近所のパン屋さんのメロンパンたちを食べまくっていた記憶…。美味しいお店を発見してしまうと、いろんなパンが食べたくなるものです。

優しい香りにお腹が空いて、ふんわりとした幸福感と、どっしりした具の存在感に癒される。パンもまた罪深い食べ物ですよね。瀬戸内の海風を感じるような、都会とはちょっと違った景色、各話ごとの写真も旅先のような雰囲気で楽しめました。

思いがけず、家族の再生をそばで見守るようで、登場するみんなが幸せになって欲しいと思えたし、美味しいパンを頬張りたくなるような、そんな物語でした。


泣き男、もしかしたらそれは僕のことではないのか、なんて思ってしまいました。幼い頃から、涙もろく、なんでもかんでも泣いてしまっていたもので。きっとそれは感情の整理ができず、感情の意味がわかっていなかったのだと思います。強い気持ちを宥めるように、涙を流してはホッとしていたのかもしれないなと。

主人公が”頑な”でした。それは健全な姿であるし、理想の母親であるのかも知れないけれど、何か違うと教えてくれる人がいるのです。泣き男がいることで、亡くなってしまった人の関係者が集い、弔うことができて。今でこそ家族葬が当たり前になって、たったの1回会っただけのような薄い関係性の人は、その故人が亡くなってしまったことすら気がつけない、それと比べると絶対に雰囲気良さそう(弔いなのにいい雰囲気ってオカシイですね)。

物語の後半、泣き男の“正体”が鮮やかに暴かれる展開は、僕にとってとても意外でした。家族の言動に一喜一憂しながらも、素直に生きることの優しさと強さを教えてくれるような、じっくりと読み返したい作品でした。


仕事と育児、生徒と家族、とにかく悩ましい問題に、知らないふりをしてやり過ごしたくなるけれど、この主人公に励まされます。誰だって、誰かのためになりたいし、誰かに助けてもらっているのかもしれないと思いながら読みました。専門学校の教員としての姿と、ママとしての姿に、自己実現の言葉の重みを考えさせられます。

とはいえ、生活があって、子どもがいて、立ち止まれないのですよね。だからこそ、家族や同僚たちの支えが必要になるのだと、今さらながら気がつくのでした。

各章に美しい色の名前が添えられていて、次はなんだろう、と楽しみに読み進められました。母親としての温かな視点が、ずっと感じられて、物語をとても優しい印象にしていました。


本編の前に読んだ感想文がどれも特別な熱が込められていて、エンタメ的な熱じゃない感じがして、心して読んだ作品。

本編の1行目から心を掴まれました。ここから先、どんな物語になっていくのか、緊張感を感じながらも、滑らかな独特のリズムのある文体に乗って、主人公とともに歩き出しました。

印象的なのは、感情の言葉が開かれていた(ひらがな表記だった)こと。書き手が書いている感情を、読み手はさらに想像を膨らませられます。書きすぎていないのに、読み手の頭の中には映像が広がるのが不思議でもありました。

読み終えて、元気が出ているような気がしました。読み手を応援してくれるような、そんな物語。ちょっとエロとか猥雑な雰囲気なのかと思いきや、全然クリーン(笑)、読み手の先入観ほんと恥ずかしや…。

特に、主人公も含めた女性の登場人物たちは、きっとみんながどこかで憧れていた人々なんじゃないか、と感じていました。言葉を選ばずに言えば、マイノリティが堂々と生きていることに、励まされる感じかもしれません。


どの作品も、ほかの方の感想文から読んでみたいと向かった作品でした。

創作大賞に向けて、多くの方が長い作品に挑戦されたこと、その気持ちに触れることができました。応援期間に読めたら良かったのですが、遅ればせながら“いまさら”感想を書かせていただきました。

読ませていただきありがとうございました!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、僕だけでなく家族で喜びます!