世代だった
あまり普段書いていなかったものの、いつも読んでくださる方なら驚かないことだと思うのですが、僕は映画が好きです。
学生の頃、学校のそばに名画座があって、在学中はほとんど行かなかったのに、卒業してから、父とよく通いました。結婚してからは、行かなくなりましたが、それでも映画館には行きたくなるもので。
子どもたちが熱狂する、アンパンマン、プリキュアやポケモンなどのアニメ映画も、いくつか観てきました。子のリクエストで、僕と子、そして、妻と子で2回観たのは、アナ雪2でした。
子どもたちと一緒にアニメ作品を観ても、泣いてしまうのが僕。
幼い頃から涙もろいので、友達から「え?モスラで泣いたの?どこで⁉︎」みたいに言われることも。(確かに、どこで泣いたんだろ・・)
ストーリーが純粋なプリキュアもポケモンも、しっかり泣いて、子どもから「泣いたの?」と言われる始末。
たまにはひとりで観たいなぁと思い立って、先日、たまたま時間の合った映画館へ入りました。
ずっと気になっていたけれど、原作の漫画は大人になってから一回読んだだけで、ファンの熱量とは明らかに違うと思って、半ば諦めていたこの作品。
平日の午後、劇場は驚くほど閑散としていました。おそらく、観客は10人程度だったのではないかと思います。
事前の情報はほとんど入れず、席に着きました。
僕は、スラムダンクのアニメが始まった頃に、中学生になった、まさに”スラダン”世代。しかもアニメの舞台は、僕の住んでいた神奈川県。多くの男子が、いや女子も、否が応でも盛り上がります。
ただ、スポーツが苦手で、ジャンプも読んでいなかった僕にとって、スラダンは「イケてる奴らの世界」でもありました。
当時の人気を象徴していたのは、バスケ部の入部希望者の数でした。体育館に一年生が集められ、希望する部活に分かれたのですが、バスケ部の列に並んだのは、男子生徒の半数あまり。冷静な女子でさえも、ひとクラス分くらいの人数でした。
半年ほど経って、何人かの男子生徒が吹奏楽部に入ってくれたので、個人的にはとても感謝していますが・・。
そうそう、映画の感想ですよね。
スラムダンクという作品の集大成とも言える、”あの試合”がメインに据えられた物語でした。主役は、赤い髪の不良でもなく、切長の目がクールなイケメンでもない、努力家のあの人でした。
圧倒的な存在が、劣等感を生み、それを糧に努力を重ねることができた・・と簡単に書いてしまえるのですが、その道のりは想像できないほどに、苦労している様子が伺えました。
好きなバスケを続けることの難しさと、もう2度と追いつけない圧倒的な存在への憧れと諦めは、以前読んだ記憶のあるマンガには少しも描かれていませんでした。
そういう下地を積み重ねてきて、そして全国の舞台で戦うのだから、やっぱり勝って欲しいなと思ってしまいました。実際には、マンガの内容通りに試合が展開されるので結末はわかっていました。しかし、うろ覚えだったシーンやセリフが出てきては、僕の涙腺を揺るがすのでした。
終盤のシーンは、圧巻でした。
これが噂のシーンか!!!と、緊張しながら見入ってしまい、息を止めていたのではないかと思います。
知っているはずの展開でしたし、結果もわかっていたのに、ドキドキしながら観ることができるって、映画館の空間だからこそかもなぁなんて感じました。
あれを満席の映画館で体験したら、緊張と弛緩のギャップでもう嘆息ものでしょうね・・。
最後の高校を卒業してからの描写には、唸らされます。きっと作者はそういう未来を描きたかったのかも知れないと感じられて、マンガを読んで、そして映画を観にきて良かったと思うのでした。
この映画は、リピーターが多いらしく、僕の後ろに座っていた若者二人組も「3回目」のようなことを言っていて、リアルタイムで観ていないはずの子たちが観に来る作品なんだな・・と改めて作品の魅力を感じました。
アニメ化された当時、そういうものに影響されて始めるのは恥ずかしいなぁなんて思いもありましたが、僕たち世代にとってはいい思い出なんだなと再確認したのでした。
なんとなくまたバスケットボールが盛り上がってきています。職場の近くにあるバスケのゴールの周りに人がいるのを見ていると、ちょっと羨ましいなと思ったりします。