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妖怪退治は床上手!?Part2

『新しい学校と新しい仲間』

夏の暑さが徐々に増していく中、スマホのアラームが俺の朝を始めた。
今日が新しい学校の初日だ。
俺はさっとベッドから起き上がりキッチンへ向かった。
昨日の残り物を丁寧に弁当に詰める。
両親が仕事で留守にすることが多かったので、料理や家事は自然と俺の役目になっていた。
朝食は時間の節約のためトーストで済ませた。

自転車に乗り街を走り抜けて学校へ向かう途中、遠くに見える山の上の神社が日の光を反射して神秘的に輝いていた。
木々が夏の風に揺れる様子を見て、その神聖な雰囲気に俺は引き寄せられるのを感じた。

職員室で高橋先生に挨拶を済ませ、俺は教室に入った。

「皆、静かにしてー。新しいクラスメイトよ!」

高橋先生の声で教室が静まり返った。

「河野良太です。今日からよろしくお願いします」

拍手が起こり、俺は自分の席に座った。
後ろから、明るい声が聞こえた。

「よっ、鈴木拓海だ。よろしくな!」

夏の暑さにも負けない明るさで、拓海は握手を求めた。

授業が始まると意外にも勉強に集中できた。
これなら新しい環境でも問題なくついていけそうだ。

昼休みになると俺を呼ぶ声が教室に響く。

「良太、こっちこいよ!」

拓海が手招きしながら、少し離れたところで女の子と話していた。

「良太、俺の友達なんだけど」

「こんにちは、良太くん。小西珠美です。よろしくね」

珠美は笑顔で挨拶してきた。

「あぁ、俺は良太。今日からよろしく」

三人でそれぞれの昼食を広げた。俺は今朝作った弁当、拓海は購買部のパン、珠美も弁当だった。

「ところで良太、何か学校のことで気になることはないか?」

拓海がふいに尋ねてきた。

「んー…特に何もないけど、強いて言うなら夏休みってどんな感じなんだろう?」

「夏休みか…そうだな、もうすぐだからな」

拓海はあまり考えていなかったようだった。

「良太くん、転校してきたばっかりだもんね。夏休み前の転校なんて、宿題とか大変なのに勇気いるよね」

珠美が優しく言った。
夏休みの予定や宿題の話題で盛り上がり、俺たちは楽しく話しながら昼食を取った。
この二人と友達になれたことで、俺はこの学校生活が楽しみになった。

その時、俺の視線は教室の隅にいる女の子に向けられた。
彼女は長い赤みがかった髪を風に揺らし、静かに弁当を食べていた。

「あの子は誰?」

その女の子に興味が湧いた。

「あぁ、楓ちゃん、宮園楓ちゃんだよ。あんまり人と話さないけど、すごく面白い子なんだよー?」

珠美が説明してくれた。

「あの山の上の宮園神社に住んでるの。彼女も巫女さんで、神社の仕事を手伝うことがあるんだってー」

「あぁ、あの神社か…この街の象徴だってばあちゃんから聞いたよ」

神社は小高い山の上にあり、街のどこからでも見える場所だ。

「神社のことは楓ちゃんに直接聞いてみたら?彼女なら教えてくれると思うよ」

珠美が提案してくれた。
彼女に直接話しかけるのは少し照れくさいが、機会があればと思った。

昼食後、俺たちは午後の授業に戻った。
時間があっという間に過ぎていった。

放課後、俺は必要な買い物を済ませアパートへと向かった。
道中、再び神社の姿が視界に入った。
その神聖な雰囲気が俺を引きつける。

「そうだ、今度の日曜に神社に行ってみよう」

自転車を漕ぎながら俺はそう考えた。
別に、楓に会いたいからというわけではない。
単に街の散策も悪くないかなと思った。

「でも、もし会えたら…」

家に帰ってから、インターネットで宮園神社のことを調べた。
歴史は古く、多くの伝説が伝わっているが、特に面白そうな情報は見つからなかった。

「よし、明日も学校だな」

スマホにアラームをセットし、少し早めに寝ることにした。

「宮園楓か…」

ベッドに横になり、目を閉じる。
彼女のことが頭から離れない。
明日も教室で彼女に会えることを楽しみに、俺は眠りに落ちていった。

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