【バトンリレー企画】私の心に残る場所それは「蔵王」これからもずっと。
【バトンリレー企画】心に残るあのエピソードをあなたへ
わたしの大切なnote仲間
いしげまやこさんから
名誉にも、アンカーのバトンを受け取りました。
まやこさんは、書く仕事でフリーランスを目指し
日々、noteも更新していらっしゃいます。
旦那様と子供たちのお話、大好きなお笑いのこと
そして日常を独自の視点で
ユニークに書き綴っていて面白い!
特に家族の話は、みんなそれぞれ個性的で
思わず笑顔になっちゃいます。
初エッセイの暁には一ファンとして、
お花とビール持参で
駆け付けたいと思っております(笑)
早速ですが、過去に訪れた旅先で
心に残る場所はありますか?
私の心に残る場所……それは、山形県の蔵王です。
今までも、これからも、この土地は私にとって特別な場所。
それは何故か。
個人的なお話で恐縮ですが
ちょっとだけ聞いて頂けたら嬉しいです。
2006年、スキー仲間と初めて蔵王を訪れました。
当時私は結婚していたのですが
元ダンナとは離婚する決意が固まっていたのです。
腹をわって話も済ませ、離婚するという
ゆるぎない意志を伝えました。
あとは元ダンの返事を待つばかり。
なので、まだ一緒に暮らしてはいたものの
わたしの気持ちはすっかりシングル。
これからの住居や引っ越しの準備を静かに進めている状態でした。
気分転換にと、友人が誘ってくれたスキー旅行で
初めての蔵王へやったきたというわけです。
総勢10名ほど、友達の友達がまた知り合いに声をかけて
はじめましての人もいました。
趣味がスキー、スノボで雪山を愛するもの同士
皆、仲良くなるのに時間はかかりません。
その中に、森から出てきた好奇心旺盛なクマのような男性が。
まるで初めて人間を見たかのような目で私をジーっと見ています(笑)
このクマさんが、今の私の相方さんでした。
後で聞くと、私があまりにも楽しそうで
福の神みたいなひとだな~と、思ったそう。
確かに、今より6キロ太ってたしな(笑)
私のクマさんに対する印象は
優しそうな人だな。
でも、周りを寄せ付けない…だけど冷たい印象ではなく
人の輪の外から優しい目で見守っている。
そんな印象を受けたのを覚えています。
クマさんは社交的な人ではないので
知人を交えて話をしましたが
話すうちに私は好感を持ちました。
またみんなでスキーに行けたらいいですよね。
その程度の気持ち、だけど心のどこかでこの時から
スキだったのかもしれません。
メンバーの女性で一人だけクマさんが
心を開いて話している女性がいました。
あ、この人のことは信頼してるんだ…
チクっと心に刺さるトゲ。
ん?なんだこの気持ち。
クマさんって、何だかステキな人だな。
でも、こうしてみんなの輪の中にいても
絶対に自分の近くには人を寄せ付けない
心に触れようとすると、スルッと交わされる…
近寄りがたいものを感じて
私は積極的に声をかけることはせず、何人かでワイワイと
楽しい時間を過ごしました。
彼が持っている心の傷を感じ
これ以上、彼の世界へ踏み込んでいくことはためらわれたのです。
帰ったら離婚活動が待っている。
そう思ったら、余計なことは考えず蔵王を楽しもうと
気持ちを切り替えました。
日暮れまでスキーを楽しみ
ジンギスカンを食らい、手がふやけるほど温泉につかり
大いに笑って語って、蔵王を楽しみ日常にもどっていきました。
帰ってからは、元ダンが何故か離婚の決意がつかずに
一向に話は進みませんでした。
お互いに気持ちはここに無いのに同居する毎日。
仕方ないのでせっせとお金をためたり
徐々に荷物をまとめたりして準備を進めていました。
ある日、蔵王のメンバーで近場のスキー場へ日帰りの
お誘いがありました。
クマさん元気かな?ちょっと気になったので
行ってみると、クマさんも来ていました。
私はスキー、クマさんはスノーボード
軽い気持ちでボードに手を出す私。
当然、スベる、コケる、転がり落ちるを繰り返し
どうにもなりません。
そんな私を見かねてクマさんのコーチが始まりました。
普段は口数が少ないのですが、
自分の好きなコトについては大いに語る
そして心を許している人に対しては心を開いている
接している内に新しい発見の連続でした。
当時は進まない離婚話し、会話の無い夫婦生活
いや、夫婦ではなく同居人。
先が見えない将来に不安でした。
そんな中、スキー仲間との時間
クマさんとの時間は癒される時間だったのです。
そして一年が経ち2007年、私は家を出ましたが
離婚は成立していませんでした。
所有していた家の権利やローンの問題で
手続きが長引いていたのが原因です。
そんな中、また蔵王へのスキー旅行の話がありました。
諸事情があり、格安で参加できるチャンスだったので
思い切っていってみることに。
そこで一年ぶりのクマさんと再会。
この時は、ハッキリとクマさんが好きだと自覚がありました。
だけどクマさんには
離婚などの身の上話は一切話をしていなかったので
自分の気持ちが切なく身にしみました。
標高1800メートルの静寂にたたずむ樹氷たち。
吹雪で一寸先もみえない厳しい自然。
これから一人で向かっていく世の中とリンクして
心細い思いでいっぱいでした。
時は流れ離婚が成立し、再び蔵王を訪れた2008年
離婚は成立、周りの友人たちのおぜん立てもあり
クマさんとお付き合いをしている状態でした。
人になかなか心を許さないクマさんが
私に対する態度が普通とちがう、これは…。
私の方もまんざらじゃなさそう…って友人たちは思ったそうです(笑)
周りは最初っからお見通しだったんですね(恥)
一度目の蔵王は、他人と線をひいて人を寄せ付けない彼が
どこか気になる存在。だけど自身の問題で手一杯。
蔵王の自然を楽しむことで自分の気持ちを打ち消した。
二度目の蔵王は、好きだと気が付いてもどこまでも平行線の二人。
これから離婚して厳しい世の中で一人きり…
蔵王の過酷な自然に自分の現実を思い知らされたよう。
三度目の蔵王は、一人ではなく仲間や一緒に人生を歩いてくれる人がいる
喜びを痛感。冷たく過酷な現実の中にも、温かい光がさすありがたさ。生きているって実感した。きっとこれからも頑張っていける。
人生の分かれ道で、毎年同じ場所へ行き
自分の置かれた環境もすこしづづ変化してゆく。
変わらないのは蔵王の厳しい自然だけ。
だけど、心の持ちようで過酷な世界も味方になって
応援してくれているかの様に思える。
私はこの時の景色、吹雪や太陽、硫黄の匂い、街並み、人、
自分の胸の内、ゴーグルの中でこっそり流した涙…
五感で感じたことすべてを死ぬまで忘れないでしょう。
あれから16年。雪の蔵王には何度か行ったけど
雪のない蔵王にも行ってみたい。
それは単に思い出の場所だからという理由だけではありません。
やはり私にとって縁のある場所なんです、蔵王って。
愛読書である宮本輝さんの「錦繍」
離婚した夫婦それぞれの再生の物語。この舞台が蔵王。
主人公のようにゴンドラを降りた山頂で夜空を見上げてみたいんです。
そしてもう一つ
私の人生であるTHE YELLOW MONKEYの「BURN」という
曲のPVが撮影されたのが蔵王のお釜です。
吉井さんと同じ場所に立って、同じ景色を見たい。
私の人生で大切なモノが3つ、すべてここに有ります。
クマさんと二人、雪のない蔵王に立ったとき
わたしはいったい何を想うんだろう……
そんな幸せな妄想で締めくくりたいと思います。
最後に、このような機会を与えてくださった
いしげまやこさん
チェーンナーさん
バトンをつないでくれた皆様
ありがとうございました。
もなか、僭越ながらアンカーとしてゴールさせていただきます~✨
ゴォォォ~~~ル✨
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