美しいもの
「美しいものをみなさい、それがあなたの感性を豊かにする。」
と、よく言われる。
美術館にいってアートを見たり、旅に出たり、
いろんな方法がある。
私の場合は、
実は、とってもささやか。
なんでもないようにみえることの中に、
その「美しさ」を発見する
たとえば
朝、起きて
部屋にまぶしく入ってくる太陽の光。
外に出てひんやり香る
冬が近づいてきた匂い
仕事の帰り、ふと立ち寄った本屋さんで
雑誌の中に、素敵な写真を見つけた時
デパ地下で、ケーキやゼリーがショーケースのなかで宝石みたいに光っている
たまにお気に入りの映画館にいったとき
地下の喫茶にいって食べる、透き通ったコーヒーゼリー
帰りの電車で見かけた、
長い人生を歩んできた、朗らかなおじいちゃんの顔
その手に刻まれたしわ
お気に入りのグラスに注いだ、たっぷりの水
みんなみんな、
日々のなかですり減ってしまいそうな
この心に
水をやってくれる
私の、美しいものたち。
沢山の舞台や、映画をみて
今どんなものが流行っているかとか
業界ではどんなやり方があるんだとか
そこから教えてもらうものも
色々あるのだけれど
それと同じぐらい
いや、それ以上に
日々のなかにある美しさに
表現の面白さを気づかせてもらう。
何気ない日々のなかに
たくさんの美しさがある
ということを、忘れてはいけない。
だから今日も
空を見て、誰かに感謝して
風の音に耳をすませ
雨上がりの匂いを嗅ぐ
世界のなかに溢れている
美しさに気づけるように。