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「面接慣れ」をするほど、面接官がモテなくなる理由

お疲れ様です。もなきです。
転職エージェントをしたり、ベンチャー企業の採用のお手伝いをしたり、採用動画を作ったり、YouTube(名もなき転職チャンネル)運営をしたりしています。

2019年、2020年に続き、3年連続で今年もありがたいことに「採用アドベントカレンダー」にお誘いいただきました。主催のキャスター社の皆さま、毎度どうもありがとうございます!

▼2019年書いたアドベントカレンダー

▼2020年書いたアドベントカレンダー

3年連続で12月3日のターンです(12/3に深い理由はありません)。タイトルは「来年は〜〜しないで下さいね」シリーズで過去2回は揃えていたので、今年もそのパターンで来るかと思いきや、、今回は全く変えまして
面接官の「面接慣れ問題」について
考察していきたいと思います。

タイトルとサムネイルを見て「面接官のモテ理論」「面接官のモテテクニック」的なものを期待してこのnoteを開いてしまった皆様には大変申し訳ないですが、そういう話ではないです。「サムネイルとタイトルに引っかかったぜ!」という方は、noteのハートボタンを押してからこのページを閉じていただければ幸いです。

<こんな人に読んでもらえたら嬉しいです>
・面接官としての経験が長い方
・面接後に候補者側から辞退されたことがある方
・面接数が多い会社で働く経営者や人事の方
・面接前のワクワクがなくなったと感じる面接官

それでは、今年もお付き合いください!

①面接官が「面接慣れ」をしてしまう問題

ここ数年、多くの企業で面接官が「面接慣れ」をしてきているように感じます。僕は普段、転職エージェントとして個人の方(求職者)の転職活動を支援したりしたり、企業の採用活動を業務委託で中の人として手伝ったりしています。そのため、間接的にも直接的にも、多くの面接官の情報を得るわけですが、明らかに「面接慣れ」をした面接官に遭遇することが増えてきたように感じるのです。

「面接慣れ」をした面接官は「面接って開始5分もあればジャッジできるよね」とドヤってみたり、不合格の場合は面接時間を大幅に短縮して切り上げたり、転職理由や志望理由を(勝手に)決めつけて掘り下げて聞かなかったりすることがあります。そこまでいかなくても、面接の「力の抜き方」を覚えてしまっているので、息をするように、あまり考えなくても面接をこなせてしまうことが多いです。

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実は、僕も前職で人事をしていた際にそんな時期がありました。採用活動のピーク時は、1日に5人〜10人位と話すこともあります。正直、何を話したかや誰が誰だったのか思い出せなくなりますし、時間に追われて無味乾燥な面接になってしまっていたことも正直あったかと思います。

昨今この面接官の「面接慣れ」が増えてきている背景には、面接官育成プログラムのような人事向けセミナーの普及、オンライン面接の一般化による面接の場数の増加、SNSを通じて人事同士の横のつながりと情報交換が加速、色々な要因があるとは思います。

ですが、この面接官の「面接慣れ」という問題、手放しにせず、危機感を持った方がよいのではないでしょうか。

②候補者にとっては「一期一会」の場

面接官の「面接慣れ」が進んでいる一方、候補者の方はどうでしょうか。確かに、昔よりは企業情報も充実し、面接官の情報もSNSやインタビュー記事などを通じて知ることができ、面接対策に役立つ系のYouTube動画も増えてきた(→名もなき転職チャンネルも見てねw)

とはいえ、ビジネスパーソンが転職をするのは、日本だと生涯で3〜4回くらいがいいとこです。候補者が転職活動中に一時的に面接での受け答えに慣れたとしても、面接官のように「面接慣れ」をするまでにはいたりません。

面接官にとっては1ヶ月で10人とか60人とか会っている候補者の中の1人かもしれないですが、候補者にとっては、応募するか否かを熟慮の上厳選して受けた1社なのです(まあ転職エージェントからとりあえず沢山応募させられてしまっている人もいますけどね)。同じ1時間だとしても、面接官と候補者との間には、その時間の重みが全く変わってくるのです。

面接官は、いくら面接に慣れてしまっても、一人の人生の岐路に関わっているという認識を忘れてはいけないと思います。

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初めて面接官をした「あの日」のことを思い出してみて下さい。

「自分なんかが、誰かの合否を判断して本当によいのだろうか?」と自問自答しながら面接官として面接に臨み、一生懸命に候補者の話を聞き、質問を重ねた「あの日」。評価点や懸念点をきちんと引き出せているかの自信がなく、1時間の面接時間に収まらなかった「あの日」。不合格の判断を下した翌日は電車のホームで背後に誰か立っていないか気になってしまった「あの日」。

面接官に慣れてしまうと、そんな「あの日」をすっかり忘れ、YouTubeやNetflixを流し見するくらいの感覚で面接に臨み、消化していってないでしょうか。

③「パターン化」が候補者理解の邪魔をする

面接官の「面接慣れ」により引き起こされることの1つに「パターン化」があります。ベストセラー書籍「ファクトフルネス」の中でも「パターン化本能」についての記述があり、聞き馴染みのある考え方です。

「パターン化本能」
一つの具体例が他のすべてのものにも当てはまるという思い込み(錯覚)

そもそも「パターン化」することは人間の本能です。狩猟採集をしていた頃の人類の歴史を考えると、この「パターン化」により生き延びる知恵を得てきました。

一方で、少数の例や例外的な事例を基に「パターン化」を構築してしまうと、全体を誤って決めつけてしまったり、思考停止に陥ってしまうリスクもあります。

・あの国は裕福で、あの国は貧しい
・AKB48が好きな人はこうだ
・自分はこうされると嬉しいから、あの人もそうなはずだ

実際には、国の中でも人それぞれ生活があるし、AKB48好きにも色んな人がいるし、自分が嬉しいことが他者も嬉しいとは限りません。

この「パターン化」は「面接慣れ」をした面接官にも起こります。

・証券会社でリテール営業をやっていた人の転職理由は「顧客にとって本当にためになるものを売りたい」だよね
・WEBマーケの代理店営業をやっていた人は、みんな事業会社のWEBマーケ担当に憧れているんでしょ?
・結婚するからワークライフバランスを整えたいし、土日休みの会社がいいんだよね?
・リクルート出身者ってみんな「我が強い」んでしょ?
・小学校からのエスカレーターで大学に入った人は何かを乗り越えた経験が乏しい

「面接慣れ」をしている面接官は、自身の面接官としての経験や、過去にいた同僚の事例を基にして「パターン化」をしてしまい、色眼鏡をかけて候補者を見てしまいがちです。

④相手をパターン化することが招く「非モテ」

タイトルにも挙げた「面接慣れ」をするほど、面接官がモテなくなる理由もこの「パターン化」に起因します。

ちなみに、面接官が実際の恋愛の場面でモテているかどうかは知りません。

そうではなく「候補者からモテる」つまり「候補者にとって自分の会社のことを魅力的に感じてもらう、好きになってもらう」ことが、「面接慣れ」をし「パターン化」したコミュニケーションを進めることで遠ざかってしまうのです。

候補者は「証券会社でリテール営業をしていたパターン」「リクルート出身者」に自分を当てはめて話を聞いてほしいわけではなく、あくまで山田太郎(仮名)という自分自身を知って欲しいし、その上で応募先企業が自分の転職先としてマッチしているのかを知りたいのです。

面接官が自分に対して「パターン化」してコミュニケーションを取っていることは候補者にも伝わります。仮にその「パターン化」がポジティブなものだったとしても、やはり自分という個人を見てもらえている感覚は薄れます。結果として、候補者を「パターン化」したコミュニケーションは、候補者から応募先企業への志望度の減退にもつながってしまうのです。

つまり、企業としての「非モテ」の進行です。

非モテ

画像引用:Googirl

もちろん、「パターン化」により、面接官としては候補者の理解促進がスムーズになる側面もあるので「パターン化」は絶対にNGとは言いません。

ですが、時として「パターン化」した面接コミュニケーションは、候補者にとって「自分を見てもらえていない」と思われることにもつながってしまうのです。

⑤バチェラーの「カクテルパーティ」に学ぶ

④では「面接慣れ」がもたらす「パターン化」が候補者の意欲を下げてしまうリスクについて話しました。その上で「じゃあどうすればいいのさ!」となってしまった方もいるかもしれません。

以下が、このnoteで伝えたい面接官のマインドです。刮目してください。

大事なのは、1件1件の面接を、面接官としても一期一会の貴重な場として捉え、候補者の話に先入観なく向き合い、自社との接続点を探りながら合否を慎重に判断していく、という至極当たり前のことに尽きる。
数多くある応募先企業の中から自社を選んで貴重な時間を割いてくれている候補者に感謝をしつつ、結果的にご縁がなかったとしても「あの会社を受けてよかったな」「今後も応援したいな」と思ってもらえることが大事。

最後に、そんな面接官としてのマインドを再認識するにふさわしい「教材」をご紹介したいと思います。

皆さんは、2021年11月からスタートした「バチェラーシーズン4」を見てますでしょうか?ご存知の方も多いでしょう、AmazonPrimeで放送されている、究極の婚活サバイバル番組です。

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画像引用:https://news.dwango.jp/tv/65446-2111/photos/344735

このnoteを出している現在(2021年12月3日)時点では、全10話の中の6話まで放送されていて3人まで絞られました。結末が大変気になるところです。

シーズン4のバチェラーである黄皓(コウコウ)さんは前作のバチェロレッテ(男女逆転版のバチェラー)にも参加されていた実業家。積極的な姿勢が色々な波紋を呼ぶことになりますが(ネタバレなので伏せます)、個人的には今までのバチェラー同様にハマってしまっています。
※バチェラー4について語りたい人、お待ちしています。

実は、僕は「バチェラーは面接官が面接を学ぶ教材」として、強く推奨する委員会としての活動を、バチェラーのシーズン1の頃から非公式に継続してきました。恋愛模様を楽しむのではなく、あくまで「面接官がコミュニケーションを学べる教材」としてバチェラーは最適なのです。

その中でも、最近特に注目しているのが、「ローズセレモニー」の前に行われる「カクテルパーティ」です。

「ローズセレモニー」
ローズを渡された人はバチェラーのもとに残り、渡されなかった人は別れを告げられるという、運命を決めるセレモニー。
「カクテルパーティ」
出演女性とバチェラーが一堂に集合して、お酒を飲みながら一緒に過ごすパーティ。カクテルパーティ中はみんなで話したり、グループで話したり、ツーショットで話したりなど自由。直後に控えるローズセレモニーへ向けての正念場。

この「カクテルパーティ」には、面接官が学ぶべき面接のマインドが詰まっているなと感じるのです。

バチェラーは、入れ替わり立ち替わり「カクテルパーティ」で女性陣とツーショットで会話をします。そこでは、女性側からの自己アピールや、想いの伝達、誤解のすり合わせ、バチェラーへの質問などのコミュニケーションが短時間でテンポ良く繰り広げられます。

バチェラーとしては、その直後の「ローズセレモニー」で残す女性を選ばなければいけないので「カクテルパーティ」での会話はとても大事。女性陣としては、一発逆転で残れる可能性もあるし、逆にここで何かミスマッチが起こると脱落することにも繋がりかねません。

そんな、一見ピリピリしてしまいそうにも聞こえる「カクテルパーティ」ですが、バチェラーはとても上手に女性陣の話を聞き、質問を投げかけつつ、自己開示もしていくのです。

1人1人との会話をこなすのではなく、会話の1つ1つが一生懸命であり、真剣であり、相互理解を大事にしている。相手を何らかの「パターン」に当てはめて見るのではなく、相手の個に向き合っている。また、ローズを渡せなかった女性にも感謝と敬意の念を持ってお別れをお伝えする。

これって、先ほど挙げた面接官が大事にするべきマインド(↓)を丸ごと体現していると思うんですね。再掲します。

大事なのは、1件1件の面接を、面接官としても一期一会の貴重な場として捉え、候補者の話に先入観なく向き合い、自社との接続点を探りながら合否を慎重に判断していく、という至極当たり前のことに尽きる。
数多くある応募先企業の中から自社を選んで貴重な時間を割いてくれている候補者に感謝をしつつ、結果的にご縁がなかったとしても「あの会社を受けてよかったな」「今後も応援したいな」と思ってもらえることが大事。

このnoteを偶然にも見ていただいた面接官の皆様には、年末年始休みの空き時間、ぜひバチェラー4を、そして過去のバチェラー1〜3を見ていただくことをお勧めします。

以上、長文お付き合いいただきありがとうございました。

このnoteがちょっとでも参考になったという方は、ローズ🌹を渡す代わりに、❤️マークを押してもらえると嬉しいです!

さてさて、採用アドベントカレンダーはまだ3日目です。
ここからの採用アドベントカレンダーもお楽しみに!

それでは!

もなき

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