冬の朝、建物に反射して飛び込んでくる朝日が好きだ。

誰にでも平等に昇ってくるはずなのに、あの光に照らされると、まるで自分が物語の主人公かのように感じる。胸がしゃんとする。

去年までは最寄り駅までは自転車で通学していたので、風邪を切って走っていたからかかなり寒かった。
早く自転車を降りてしまいたくて毎日がむしゃらにペダルを漕いでいたけれど、それでも朝日に見惚れた一瞬だけは、その足がゆっくり進んでいった。

一人暮らしを始め、駅まで歩くようになった私は、もう以前のような寒さを感じることはない。

冬が嫌いな理由は「朝寒いから」だった私だが、もう嫌いになる理由なんて無くなった。

冬が好きだ。

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