短編小説『ケサランパサラン』
こんな夜更けにチャイムが鳴ったので玄関のドアを開けてみたら保育園時代からの友人たかゆきがいた。
「久しぶり。どうしたんだ」と尋ねると友人は「ケサランパサランを見つけたからお前にも見せてやろうと思って」などと言う。
妄言を吐いたかと思うや否や差し出してきた日焼けしたでかい右手にはなるほど、白いまりものような、たんぽぽの綿毛のような毛むくじゃらの生き物がちんまりとおさまっていた。毛玉ではなく生き物と判断したのは、米粒大ながら明らかに目であろうものが二つ付いていて、風もないのに