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遺影を自分で準備する お気に入りの一枚があって助かった話(前編)

終活で遺影を自分で準備しておきましょうっていうお話し、必ず聞かれると思います。

これ、本当に大事なんです。

写真スタジオとかで改まって撮ったものじゃなくても、スナップ写真一枚でも

「これを遺影にしてほしい」

ということが分かるように残しておいてくれるだけで、残された家族の負担は本当に軽減されちゃうんです。

両親を見送った経験から、写真なし(父のとき)、写真あり(母のとき)両方のケースをお話ししていきます。

気負わずに、ご参考までに読んでもらえると嬉しいです(^ ^)

写真なし(父のとき)

6年前に亡くなった父は末期の癌で緩和ケア病棟に入院していました。
緩和ケア病棟に入院した時点で、父に残されている時間がわずかしかないことは分かっていました。

そう、分かっていたのになかなか準備ができなかったのです。
遺影のことも考えなきゃいけないなぁ〜、と頭では理解しているものの、まだ生きているうちから準備するなんて。。。

心が拒絶するって言うんですかね。
親の看取りに直面しつつも、覚悟もな〜んもできていませんでした。

それでも私には事前に準備をしておかなきゃいけない理由がありました。
自宅が大阪にあり、父が入院している病院は神奈川にあったので、遺影が必要になった時、

ちょっと写真探してきま〜す!

とはいかない物理的な距離の問題です。
頑張れば日帰りできる距離ではありますが、おそらく心身ボロボロの時にそんな無理はしたくない。

そう思ったので、なんとか重い腰を上げて写真を探し始めたわけです。

いざ探し始めてみると、どんな写真が遺影にふさわしいのか、ものすご〜く悩んでしまいました。

証明写真みたいなのじゃ固すぎるし、ちゃんとした家族写真は撮ったことすらなかったし、ちょっと良さげかなと思ったものは背景がごちゃごちゃしていたり。。。

父のお別れの場を飾る写真。
父らしさが出ている写真。

ありそうで、なかなか見つからない。
そんな中、ついにこれだ!と思える一枚を探し出しましたよ。
まだ生後間もない息子を抱いて、ニカっ!と笑ういいお顔の一枚を。
ただし、パジャマにガウン姿ですけど。

まだ実家にいた頃、会社の同僚が夜ウチを訪ねてきたことがあり、その時も父はガウン姿で「いらっしゃい」と同僚を出迎えて、


「今時ガウン着てる人久々に見た!石原裕次郎かと思ったわ」


と爆笑された思い出が蘇る。
ウチの父は裕次郎じゃなくて茂ですけどね。




でもやはりそう遠くないうちに「その日」はやってきたわけで。。。

あらかじめ連絡をとっていた葬儀会社へ電話し、昼過ぎに病院までお迎えにきていただいて、葬儀会社の霊安室に父を安置していただきました。

「今はまだ気持ちの整理がつかないでしょうから、打ち合わせは夕方にしましょう」と言われ、夕方打ち合わせのため再度葬儀会社を訪れました。

そして夕方、父が眠る傍でもうすぐさま葬儀の打ち合わせが始まりまして。

〇〇はどうしますか?〇〇はどうしましょうか?〇〇はどちらになさいますか?あれは?これは?

矢継ぎ早に繰り出される質問の数々。
悲しんでるヒマもなく、とにかく聞かれたことに対して、その場で判断して決めなきゃいけないことの連続なんです。

その時の母は、まだ混乱してあまり考えられる様子ではなかったので、これは自分がしっかりせなにゃならん、そう思って必死でした。

とは言いつつも、あまりの情報量に自分もキャパオーバーしてきて、途中から訳がわかんなくなってきてました。


そんな中投げかけられた
遺影はどうされますか問題。

たくさんのサンプルを見ながら、ガウン姿の父茂を変身させるべく、背景、服を選んでいきます。
選んでいきたいのだけど、もう頭が麻痺してきて考えがちっともまとまらないんです。

サンプルと父の写真を合成した時のイメージがどうしても浮かんでこなくて、きっとこれが漫画だったら、私の目はグルグルの渦巻きになっていたに違いない。

少なくとも6年前はそんな感じでした。
今ならiPadとかでパパッとイメージが画像を見せてくれる会社もあるかもしれないですね。

脳みそが疲れ果て、回らない頭をどうにか使って写真の背景を選び、石原裕次郎もどきのガウンからナチュラルなジャケット姿にドレスアップすることができました。


亡くなってすぐの時は、初めてのことで戸惑う上にものすごい量の情報を与えられ、尚且つ決断を迫られます。

おそらく私は事前に写真を用意できていた分、負担は少ない方だったと思います。
それでも、正直ヘロヘロでした。
これがもし、突然のことで準備が何もできていなかったりしたら。。。

特に葬儀までの時間があまりない場合には、写真を選ぶステップがないだけでもご家族の負担は少し軽くなると思います。

次回後編では、写真あり(母のとき)のお話をさせていただきます。

最後まで読んでくださりありがとうございます!


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