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人生で初めて膝の前十字靭帯を断裂した話(その2)


手術が決まってからの、術前リハビリ

スポーツ整形外科での診断を受けたとき、担当医の方からは、強く手術を勧められた。(自分にとって初めてのことで、初めは手術の必要性がよく理解できなかった。)
「前十字靭帯」は膝関節の上部と下部の骨を繋ぐ、膝の安定性を保つ組織で、近くに血管が通っていない。そのため、一度損傷・断裂をしてしまうと自然治癒はほぼ見込めないらしい。

放置しても歩行は可能になるが、日常生活においても、膝が抜け落ちるような症状(いわゆる「膝崩れ」)のリスクが常にあり、ランニングや、激しいステップや、急激なストップ&ゴーを伴うサッカーやバスケなどのスポーツをすることは、手術無しでは今後は難しいそうだ。

僕はそれを聞いてすぐに手術を行うことに決めた。
手術自体は、怪我をしたことによる膝の炎症が収まり、関節の可動域や筋力をリハビリによって回復させてから行う必要がある(そうしないと、術後のリハビリに時間がかかってしまう)とのことで、この日からおよそ1ヶ月後の日に入院・手術を行うことになった。

この日から手術の日までの、「術前リハビリ」が始まった。
膝関節の曲げ伸ばしの可動域と筋力の回復をするために、膝の皿を押して伸び切らなくなっていた膝を強制的に伸ばすストレッチ、腿上げを繰り返していく。手術前の健診などを経て、入院日を迎えた。

負傷した左膝を地面に押し付けることで関節の可動域を回復させるリハビリ
手術の前週の膝。膝裏が床に付き切っていないが、可動域はほぼ戻りつつある。

入院〜手術〜退院まで

手術前日、13:00に入院。ベッドに案内され身の回りの整理整頓をする。
この日の19時以降は絶食、22時以降は絶飲食となり、身体には点滴を打って栄養補給をするようになる。身体に管を繋がれている感覚は、痛みこそあまりないものの、やはり地味なストレスを感じる。
口から水分補給していないにも関わらず、尿意は起きるため違和感がある。

手術前日の様子。栄養分・水分はここから補給される。

手術当日、前の患者さんの術式が早まり、予定より1時間早い午前11時から手術を行うことになった。点滴のカートを引っ張り、看護師の方と手術を行うフロアに。フロアに入る前の待合室のようなスペースで、自身の名前と手術名を手術の助手に伝える。

その後、手術台に横たわり、背中から下半身麻酔の管を注入される。脊髄を経由して麻酔薬を注入するらしい。徐々に下半身の感覚がなくなり、自分の意志で動かせなくなる。その後、酸素マスクのようなものを口に被せられ、全身麻酔となる。瞬時に眠気が襲い、意識が落ちた。

眠っているというより、時間がワープしたような感覚で意識が戻った。時間は3時間ほどが経過していたと思う。すでに病室のベッドにおり、手術が無事に終わったことを告げられた。

下半身は痺れるような感覚があり、思うように動かない。
手術の執刀医の方からは、前十字靭帯再建術が終わったことと、切開した結果、膝後部の半月板も断裂していたため、その部分の縫合術も行ったことを伝えられた。
この半月板縫合術を行うと、手術を行った足に荷重できない期間が、前十字靭帯再建術のみを行った場合に比べて長くなり、自ずと松葉杖の生活も伸びる。多少のショックはあったが、思ったよりも落ち着いて受け止められた。それよりも、あっという間に手術が終わった感覚に驚いていた。

前十字靭帯の再建術は、膝下を切開し、内視鏡などを使い、負傷した側の足のハムストリングを前十字靭帯の代わりとして移植するのが最もメジャーな手法とのことで、僕も同様の術式だった。下半身麻酔が切れた後は、傷口が痺れるような鈍痛が続き眠れなかった。
また手術した左足を動かそうとすると、傷口に加え、移植に使われたハムストリングの部分も非常に痛かった。

点滴の管だけでなく、尿道カテーテル(手術後1日は自力で尿を放出できないため、全身麻酔中に尿道にカテーテルが通されている)の違和感もあり、この点は同じ手術を過去に経験した友人に痛みを伝えられていたので、嫌に思っていたけれど、僕自身はそれよりも手術による痛みの方が辛かった。

自力でトイレに行かない限りは尿道カテーテルを外せないと看護師の方に言われたため、死に物狂いでベッドから起き上がり、不安定ながら松葉杖
をついてトイレに。カテーテルを外してもらい、その後点滴の管も抜いてもらった。ひとつひとつ、ストレスの種を摘んで行くような感覚だ。

コンディション的に今が底、ここから上がるだけと自分に言い聞かせた。

手術後のリハビリ

半月板の縫合術を行ったため、術後の3週間は手術した足を地面につけて荷重をかけられない状態となった。その状態での松葉杖は思った以上に力が必要で、バランスが取りづらいものだった。(術前のMRIでも半月板の損傷は判別できず、僕も両足をついた状態での松葉杖しか練習をしていなかった)

左足に荷重をかけないことに最新の注意を払いながら、術後の病院内でのリハビリが始まる。膝関節の筋肉をほぐすストレッチから、チューブを使って足首を曲げ伸ばしするトレーニング、腿上げのトレーニングなどを行う。

左脚筋肉の衰えを感じるが、今はここから上がるだけだ。そう言い聞かせてなんとかメニューをこなしていく。傷口の痛みも改善し、松葉杖歩行もなんとかできるようになったので、無事に退院となった。
片足しか接地できない状態での松葉杖はバランスが取りづらく、階段は非常に危ない。病院内でも階段昇降の練習はしたものの、あまりに危険を感じるので、退院後、僕は自宅マンションの階段はお尻をついて昇降している。(悲しいことに、我が家のマンションにはエレベーターがついていなかった・・泣)

バリアフリーの重要性を、身に染みて実感した。本当に、普段通りに歩けることって、素晴らしいこと。

これからは、自宅と整形外科に通うことでのリハビリを続け、サッカーへの復帰を目指していく。


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