見出し画像

LTV(Life Time Value)とは?売上アップのカギとなる5つの戦略

(とあるマーケティング戦略会議での主人公斉藤と上司赤城課長のやりとり)
長期的な成長戦略を考える上で、LTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー) という指標が非常に重要なの。これは「顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益の総額」を指し、単発の売上ではなく、長期的な収益の最大化を目指す考え方ね。

最近のビジネス環境では、新規顧客を獲得するコスト(CAC:顧客獲得コスト)が上昇する傾向で、広告費やマーケティングコストをかけて新しい顧客を増やしても、それ以上の利益を生み出せなければ意味がないの。そのため、既存顧客との関係を深め、継続的に取引してもらうことで、1人の顧客から得られる価値(LTV)を最大化することが、企業の持続的成長には不可欠と言えるわ。(赤城課長)

なぜLTV(ライフタイムバリュー)が重要なのか?

魅力的な製品やサービスを作って、プロモーションを行い、認知・訴求を行うことで売上げの拡大を図ることもできると思いますが、なぜあえてLTVと言う考え方が今重要なんですか?(主人公斉藤)

いい質問ね。製品やサービスを導入する企業が増え続ける成長期の市場であれば、新規顧客を増やすことで売上げを向上させることがきる。しかし、既に商品が飽和している成熟期の市場では、新規顧客を獲得することは難しくなるの。そのため、顧客の定着化(リピーターを増やして、顧客ごとの売上げを伸ばす)ことが重要となり、「顧客生涯価値」を意味するLTVが注目を集めているのよ。
今日はLTVの算出方法といかにLTVを伸ばすかについて解説すわ。


LTVの計算方法

LTVを計算する基本式は、次のようになります。

LTV = (顧客単価)×(粗利率)×(購買頻度)×(取引期間)-(顧客の獲得・維持コスト)

例えば、あるECサイトで平均的な顧客が1回の購入で5,000円の商品を買い、粗利率が40%、年間の購買頻度が12回、取引期間が3年間続くとします。そして、新規顧客を獲得し維持するために5,000円のコストがかかる場合、LTVは次のように算出できます。

5,000円 × 0.4 × 12回 × 3年 - 5,000円 = 67,000円

この計算から、1人の顧客がECサイトにもたらす利益が67,000円になることが分かります。つまり、新規顧客を獲得する際には、LTVを考慮し、長期的な収益性を見極めることが重要です。

LTVを向上させるための5つの戦略

1. 顧客単価を向上させる

顧客単価を上げるには、単純に価格を引き上げるのではなく、より高い価値を提供することで、顧客に納得してもらうことが重要です。その方法として、クロスセル(関連商品を提案する)やアップセル(より高価格の上位商品を勧める)があります。
例えば、ECサイトで化粧品を販売している場合、スキンケアセットをまとめ買いすると割引が適用されるようにすると、1回の注文単価が上がります。また、高級ラインの製品を推奨することで、より高額な商品を選んでもらうことも可能です。一方で販売促進や価格帯を上げ過ぎると顧客離れを引き起こすこともあるため、あくまでも顧客のニーズに合わせた最適な提案を行うことが重要です。

2. 購買頻度を増やす

LTVを高めるためには、顧客により頻繁に商品やサービスを購入してもらうことが重要です。そのためには、顧客が継続的に購入したくなる仕組みを整える必要があります。

例えば、定期購入の仕組みを導入することで、購買の習慣を作ることができます。サブスクリプションサービスなどは、その好例です。また、メールマガジンやアプリのプッシュ通知を活用して、新商品や特典情報を定期的に届けることで、顧客が再購入するきっかけを増やすことも効果的です。

3. 取引期間を延ばす

顧客との関係が長く続くほど、LTVは向上します。そのためには、顧客満足度を高め、長期間の取引を継続してもらうための工夫が必要です。

たとえば、ロイヤルティプログラム(ポイント制度や会員特典)を導入すれば、顧客はリピーターになりやすくなります。Amazon Primeのような会員制サービスも、顧客を囲い込む強力な手法です。また、カスタマーサポートの充実や、顧客の意見を反映した商品改良を行うことで、信頼関係を深め、取引期間の延長につなげることができます。

4. 粗利率を向上させる

LTVの計算において、粗利率を高めることも重要なポイントです。売上を増やすだけでなく、コスト削減を行い、利益率を上げることで、LTVを最大化することができます。

例えば、業務の自動化や効率化ツールを導入することで、人件費や運用コストを削減できます。また、広告費を最適化し、費用対効果の高いマーケティング施策を実施することも、利益率向上につながります。仕入れコストの見直しや、適切な価格戦略を採ることも有効です。

5. 顧客の獲得・維持コストを削減する

新規顧客の獲得コストを抑えることで、LTVを向上させることが可能です。そのためには、広告やマーケティング施策の効率化が欠かせません。

例えば、SNSやコンテンツマーケティングを活用し、低コストで見込み顧客を獲得する方法があります。また、口コミや紹介制度を活用し、既存顧客から新規顧客を獲得する仕組みを整えることも、コスト削減につながります。

まとめ

LTV(ライフタイムバリュー)を最大化することは、企業の成長に直結する重要な戦略です。

  1. 顧客単価を向上させることで、1回の取引で得られる利益を増やす。

  2. 購買頻度を増やすことで、継続的な収益を確保する。

  3. 取引期間を延ばすことで、長期的な関係を築く。

  4. 粗利率を向上させることで、より効率的に利益を確保する。

  5. 顧客の獲得・維持コストを削減することで、無駄な支出を抑える。

LTVを向上させることで、単なる売上拡大ではなく、持続可能なビジネスの基盤を築くことができます。ぜひ、これらの施策を実践し、企業の成長に活かしてください。
※本記事は「ブラックジャックによろしく」(著者:佐藤秀峰)の二次利用の規約に従って制作しています。

いいなと思ったら応援しよう!

もん(テックマーケター)
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!