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MORE ABOUT 家族のアルコホリズム
前回に引き続き、家族の病気について考えます。一人の仲間からのストレートな言葉が、私に「自分自身の問題」と向き合う大きなきっかけを与えてくれました。そのとき、私の夫はすでにソーバー9年目。以前『アルコホリズムが私たちに与える影響』という記事で次のように書きましたが、私もやはり同じ体験をしていたことがわかります。
「これらの症状はさらに、たとえアルコホーリクが酒をやめたとしても、あるいは私たちが長年アルコホリズムとは無縁の生活を送っていたとしても、私たちが自分自身の回復を求めるようになるまで根強く残り続けると言われています。これもまた、私たちの多くが体験している事実です」
関係性のダイナミクス
さて、もう一度「家族の役割」に戻りましょう。アルコホーリクとの関係、また私たちがその関係性の中で果たしている役割を知ることは、家族の全員にとって非常に重要であると考えます。なぜなら、家族の病気の姿や性質、ひいては私たちの問題の本質を、この中に見つけることができるからです。私たちの役割が変われば、当然のことながら家族のダイナミクスも変わっていくでしょう。けれど、これは(少なくとも私にとって)決して簡単なことではありませんでした。
見えない鎖
私が娘を連れて家を出ていくまでそう長くはかからないだろう。夫は飲んでいるとき、そう思っていたそうです。私はそれを彼がソーバーになった後に聞き、少なからず驚いたことを覚えています。当時の私に家を出るなどという考えは微塵もなかったからです。「考えがなかった」という表現は正しくないかも知れません。それはむしろ私にとって、空を飛ぶのと同じくらい不可能なことに感じられたのです。
『心の家路』の以下の記事で「学習性無力感という問題」について取り上げられていますが、私の状態もまさに家族が陥る学習性無力感であったと言えます。
さらにこの記事には、12ステップグループが採用している学習性無力感に対する対策は「同じ問題を解決した人たちと一緒に過ごすこと」であり、また「学習性無力感を解消することで、無力を認める準備が整う」と書かれています。これは、アラノンの多くの仲間もプログラムを通して実際に体験していることです。
問題の本当の姿
夫が不快になる要因やその結果をコントロールするイネーブラー、自らを捧げる殉教者、すべてを諦めた被害者。こうしたさまざまな私の役回りは、夫のアルコホリズムだけでなく、私のプライドやただ生き残る力をも支えていました。その苦しみから抜け出すことを心の底では切望しながらも、同時にそれらの支えを手放すことが何よりも恐ろしいというこのジレンマこそ、私が抱える問題でありました。けれども、いやだからこそ、私もアラノンで自分にも選択肢があることを知ることができたのです。
いよいよ次回より、家族の回復というテーマに入っていきたいと思います。