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【特別展】海の人類史 – パイオニアたちの100万年@IMT

2024年9月20日

インターメディアテクは東京大学の研究を主軸とした展示をしてくれるので非常に高いレイヤーの研究をぺろっと、無償で公開してしまうの本当に良くない!!金を払わせろ!!!
(今度極楽鳥と併せて本展示の図録買う……)

今回の特別展は海の人類史、と称し人類(ホモ・サピエンス)がグレートジャーニーのなかでどのように海を超え、海と生活していったかを取りまとめた展示であった。

まず、海を渡った霊長類としてフローレス原人を紹介されていた。国立科学博物館の地球館地下2階の人類史の展示のフローレス原人を持ってきたかのような展示。利用されている背景画などもなんか見知ったシルエットだな・・・?となってしまい破顔。
まぁ常設できちんとやっている上に品質が高い展示が近場にあればそうなるな。

フローレス原人の小ささを比較

そして続いては今回の展示の目玉である、日本列島にどのようにして人類は渡ったのか。ということである。

この研究に対しては科博でのチャレンジの紹介などでも知っていたが、かなりの長時間を掛けたプロジェクトであることをあらましから、与那国島に到着し、再現可能であることを証明した流れまでを順を追って説明されていた。上映されていたドキュメンタリーめっちゃ長い(20分?程度)w

日本人の祖先が大陸側からどのように進出したかをそのドキュメンタリーを見ることで非常に理解が深まった。
にしても非常に気の長い研究な上に、素材、工作具、そして実践へとつなげた海部先生の執念が実った後悔は本当にすごい。

海洋の進出もそうだが航海技術の継承という点も展示にあり、日本という島国の中で交易の品として神津島の黒曜石を本州本土の黒曜石よりも求めていたという事実も示され、なかなかに面白いな~と思いつつも、昨年の科博での特別展『海』で示されていた内容そのままだなぁ。と。

また海に接して、その自然を享受してきたという点で釣具を展示していたが、それもまたものの見事に『海』展そのまんまだったなぁ。と。
どうしても人類史×海となるとそちらの方面に向かってしまうのは致し方なし。
ただ、海を超えた人類はムキムキマッチョマンだったという展示はめっちゃ面白かった。
縄文時代の栄養乏しい環境下と江戸時代近代に近づいている平均的な男性の上腕骨比較とか、これはなかなか考古を深くやっていないと着目点として明示しないのでは?w

明らかに太いほうが縄文時代の最強の上腕骨

日本史上最高のマッチョマン。おもしろワードすぎるだろ。

最後には現代から未来への海への挑戦として、商船三井の宣伝コーナーw
これも完全に科博の海展再現ですね。めっちゃウケた。
特筆すべきところはないので飛ばします。

IMTで展示するという意義はあるけれども、だいぶ昨年の科博の海展を踏襲したものであり、ざっと見るならばそこまで新しいものは無いかな~というのが、素直な印象。でも、これが無償で見れるというのはやはり何かオカシイとは思えるくらいにきちんとした展示であった。
海部先生の所属がスギメプロジェクトをやっていたの時期は科博の人文で、そして現在は東京大学博物館所属ということで、それら双方のいいとこ取りしてコンパクトながらに濃密な展示が出来ていたとは思った。

以上。