桜をほめちぎる
桜はたとえ数日の命でも、何も言わず精一杯咲いているのがいい。
まるで人間が観るために咲いているのかのように、下を向いて咲いているのがいい。
よくみると、野球場のライトみたいなところもいい。
さらにじっと観察すると、しらすの目のように見えるところもいい。
風が吹いて、はらはらと花びらが舞うのがいい。
お花見から帰って、バッグの中から花びらが一片、出てくるのもいい。
青空でも曇り空でも、その手前で存在感を魅せているのがいい。
ちょっとした街頭に照らされて、豊満な咲きっぷりを主張しているのがいい。
葉が出てきて、だんだん緑に侵略されてきても、そしらぬ顔で咲いているのがいい。
何よりも、人間がみんな、上を向いてその姿を鑑賞できるのがいい。