見出し画像

つい感情が動きそうになってしまった男の話


(2年前の下書きにあった溜まっていた話。)

マッチングアプリを始めて、
10人程と会ったころに出会った男。

その男とは、マッチした次の日に
"宅飲み"という名目で会うことになり、
すんなりと、いつも通りに、事が進んだ。

でも、彼は
これまでの男とは、ちょっと違った人で
わたしの心も、いつもとちょっと違ったのを
よく覚えている。

初対面で、しかも1回しか会わないかもしれない相手に、自分の事を隠さずたくさん話してきた。
わたしの事もたくさん質問してきた。
下着をとるときも、行為中も、「かわいい!」って無邪気に言ってきた。
事後に、「泊っていく?」って聞いてきた。
帰るとき、「送るよ!」と言ってきた。

家に行ったのは2回。

そのあと、ばったり、
コンビニや駅ですれ違ったりした。
あまりの頻度の高さに怖さもありつつ、
彼を思い出す機会が多かった。

そんなこともあって、なんだかんだ
やりとりは続いて電話をしたこともあった。

わたしは就活と国試に追われていて、
頑張っているけど、なかなか結果がついてこないことから、こう言った。
「頑張ってなさそうで、
 頑張ってる人になりたい」
すると彼は、
「頑張ってみえて、
 頑張ってる人になりなよ」

ハッとさせられた。

彼は、"頑張ることが素晴らしい"ことだと、
心から思えるタイプの人なんだ。
いつからか捻くれた格好のつけ方をしている自分が恥ずかしくなった。

自分の中で想定外の返しが来るとわたしは弱い。

大したことないのに、
ちょっとイレギュラーだったから、
君に心を乱されそうになっていたのかな。

だけど、彼がくれた言葉は
どんな行為よりも私の中で残っている。

君との連絡手段はもうない。
君の家しか君のことを知らない。


頑張ってみえて頑張ってる人に
わたしもなりたい。

いいなと思ったら応援しよう!