誰かの特別な人になりたい
誰かにとっての特別な人になったことがない。
誰かのかけがえのない人になるのが怖い。
ずっと誰かにとっての何かっていうポジションにつくのが嫌だった。
だけど、今。
誰かの特別な人になりたいんだ。
そう思ったのは、これまでの生き方が悲しく思えたから。
恋愛は中学生の時に盛んだったのが最後で、それから好きになる人には決まって相手がいて、その辺の男と経験人数は増すばかり。
母親にバレて怒られたマッチングアプリ。最近、また始めた。
でも、前とは違う。やりもくではなく、ちゃんと話ができる人を求めている。
ある日、珍しくやりとりが続いていた男の子と電話をした。
その子は、気の合う彼女を探してるらしい。
趣味とか好きな映画とか私のことをよく聞いてくれて、割と真剣にアプリを使っている印象だ。
電話をして気づいた。全然上手く話せない。
その子の彼女というポジションを狙っているわけでないが、その子が真剣に私と向き合ってくれてるのが伝わってきたから。
人として見られていると思うと、緊張して話は出てこないし良い返しができない。挙句の果てには敬語が出てくる。
そんな中でも彼のおかげでそこそこ盛り上がって、アウトレットへおでかけをする予定をたてた。
これまで、男の子と1日遊ぶことなんてなくて、誘ってもらえてすごく嬉しかったけど新鮮で不思議な感覚だった。
どうも、その反応が本人にも伝わったのだろう(笑)
アプリで出会う人やこれまで付き合った人たちとは1日かけて出かけてこなかったのか聞かれた。
答えることなんてない。だって、付き合ったことなんてなくて(中学生が最後)、気になる人とも夜からしか遊んだことないもの。
1回だけ長い片思いした人と1日のデートをしたことがあるが、その人には付き合っている人がいたなあ。
そんなことまで思い出してたら、なんだか涙があふれそうになった。
私って、いつも自分から独りを選んで生きてきたつもりだったけど、やっぱり誰かの特別になりたいってどこかでは思ってたんだろうか。
結局、鼻をすする音を気づかれたくなくて、すぐに電話を終わらせた。
これからどうなるか分からないけれど、いつか誰かの特別になれるだろうか。