春告鳥

ある分野でプロの作家をしています。 只今認知症の母介護中。 色々あること、ないこと、創…

春告鳥

ある分野でプロの作家をしています。 只今認知症の母介護中。 色々あること、ないこと、創作をまじえ、語りたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

最近の記事

おかんはずるい!

 私の母が私にくれたのは、愛という名をかぶった支配だった。母自身もそれを愛だと思っていたのだろうが、実態は愛ではなく支配だった。愛と見せかけた支配。母は私の志向や恋愛感情まですべて支配しようとした。  それは自分が不安だから。自分がいつも強度の不安症だから、、、。私の行動範囲を規制し、思い通りにならなかったら、可哀そうな母を演じ、時には泣きわめき、私が自由に人を愛したり、職業を選んだり、親元を離れようとすると、そのことが親不孝であるとののしり、私に自由に生きることに対する罪悪

    • 人生列車

      私が悩んでいるうちに 君は地球を三周した 私が悩んでいるうちに あの子は 三度の恋と別れをしたらしい 命の長さはせいぜい九十年 いや、百年としても 人はそれぞれのペースで 人生を生きる ちょっと悩みすぎたと思うけど どうしようもなく  抜けきれない迷路だったの あいつは 十年  テレビのお守りを  してたんだって 彼女は六年  ゲームをしてたんだって いったい なんなんだろう 人はそれぞれ 違う時間で生きているのに どうしても 降りなきゃならない 終着駅はやってくる

      • 鉄道員(ぽっぽや)

        北の駅、一日に数本の電車しか来ない廃線間近のローカル線の終着駅で駅長を勤めあげる男の実直さと純粋さと無器用な生き様を、高倉健がとても上手に演じていた。 日常、何かの仕事に取り組んでいるときに、その仕事が暇だったり、あまり必要とされていないような気がした時に、つい、真面目にやってるのがバカらしくなったり、空しくなったりして、色々と迷いはじめるのだが、高倉健を演じる主人公は、誇りと責任感と愛をもって、淋しい駅の駅長としての仕事を全うする。誰が見てなくても、吹雪く日もまったく変わる

        • 初潮のこと

          初潮を迎えたのは、確か小学校6年のはじめだった。女子だけ体育館に集められたりして指導を受けていたので、下着に血液がついてるのを初めて見たとき、ビックリはしなかった。そして、一般にはそれを母親に伝えたりすると、赤飯でお祝いされたりして、うれし気恥ずかしいものらしいと聴いていた。が、私の家はまったく違った。 ドキドキしながら母親に伝えると、「まだそんなに発育もしてないのになあ」と眉をしかめていわれ、それ用の下着とナプキンの場所を教えられて、簡単にケアの仕方を説明されただけだった。

        おかんはずるい!

          2000年10月1日

          今から22年前の日記が出てきた。 子供たちが幼くて、自分の時間なんかなくて、いっぱいいっぱいだったころ。ちょっとシェアしてみます。 2000年10月1日  なぜ、やりかけたことをすぐに忘れて一年も忘れていられるのかわたしにはわからない。とにかく毎日忙しすぎて、いつも時間に追われている。もしもまとまった時間がとれるなら作品を書きたいし、絵手紙もしたいし、英会話も習いたいし、、。でも現実は、月、火、水、と仕事して、木曜にたまった家事を片付けて、幼稚園の行事や小学校の行事などに追わ

          2000年10月1日

          長い間、胃がいたい。私は怒ったり、泣いたり、そういう感情を無意識に押し殺してしまう。いつも、何事もなかったかのようにさらさらと通り過ごして、なるべく楽しいことだけを考えて生きている。でも、胃がいたいということは、やっぱり、どこかで自分を騙しきれていないのか?

          長い間、胃がいたい。私は怒ったり、泣いたり、そういう感情を無意識に押し殺してしまう。いつも、何事もなかったかのようにさらさらと通り過ごして、なるべく楽しいことだけを考えて生きている。でも、胃がいたいということは、やっぱり、どこかで自分を騙しきれていないのか?

          母が会いたいひと

          「今日は調子が悪いから行きたくない」と重たそうな表情で母がいう。夜中に戻してしまったという。そうか、そしたら仕方ないね。無理しない方がいい、ということで、今日はデイサービスをお休みした。  こういう日は結構ある。本人の様子をみてお休みするのだが、たいてい行かないと部屋でひとり、過去のいやな思い出をほじくりだしてきて、暗ーくなり、かえって体調が悪くなることが最近わかってきた。  しかし、今日に限っては休んだ方がよかったみたいで、午前中はずっと横になっていた。食欲もないみたいで、

          母が会いたいひと

          ネガティブなひと

          「すいません、ちょっと聴いてほしいんだけど、私は人に迷惑をかけるのが一番いややねん。あんたにも、真知子にも、いっさい甘えるつもりはないからな、それだけはわかっといてや」  母の部屋に夕食を届けに行くと、いつになく強い声でそう言われた。 「おかあちゃん、全然甘えてないやん。私もお姉ちゃんも、そんなこと全然思ってないよ。私はこの上に住んでいるんやから、二人分のごはんをつくるのも三人分のごはんつくるのも一緒やから、おかあちゃんの分もついでに取り分けて持ってきてるだけやん」  私がそ

          ネガティブなひと

          母のこと

          「すいません。お世話になっていてもうしわけないのですが、私は子供に甘ったれたりしてません!そんな風に思われるのが一番いやなんです!」  母が同じマンションの違う部屋に引っ越してきてそろそろ一年になる。  父が施設でなくなり、ひとりで好きな畑でもしながら、のんびり暮らせばいいと思っていた。しかし、88才なので、ひと月に一度は様子を見に行こう。新幹線で3時間、もよりの駅からのアクセスも入れれば、片道5時間はかかるが、しっかりしていてくれたら、住み慣れたところでいる方がいいだろう。

          母のこと