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【エッセイ】いちご飴、食べたい


私はいちご飴が好きだ。

パリッとした食感のあと、口のなかでじゅわっと果汁が溢れだして頬がぎゅん、と唸るあの感じ。

お祭りでいちご飴があれば迷わず買ってしまうのはきっと私だけではないだろう。まず、身近なところで言うと妹もよく買う。
最近ではいちごが何段にも積み重なったスーパーウルトラいちご飴(勝手に命名)もあるくらいだから、やっぱりすごく人気なのだろう。

いちごって、そもそも美味しいけれど飴と絡めるとまたさらに美味しい。飴が甘いので、多少いちごが酸っぱい方が相性がいいのではないだろうか。

つまりはお高いいちごではなく、近所でいちばん安いスーパーのいちばん安い398のいちごを買って、いちご飴を作れば大量に、そして美味しいいちご飴がお家で楽しめるのではないか。


そう思って何度か試してみたけれど、毎度飴の様子がおかしくなる。ただの水と砂糖だったり、焦げたり、ようやく形になったものの、硬すぎて歯がいちごに辿り着けなかったりするのだ。いちご飴とは簡単そうに見えて奥深い。


いちご飴。

作ってみると分かるけれど、ほとんど砂糖のかたまりなのにヘルシーな気がしてしまう。

実は、私はフルーツをヘルシーのカテゴリに分類する節がある。キャベツやレタスなんかと同じ位置に、いちごや桃。バナナや梨が君臨してしまっている。要するに、いくら食べても太らないと思い込んでいるのである。

実家にいた頃はよく食卓にフルーツが出た。
母が季節のフルーツを意識して出してくれていたのだ。バナナは苦手。りんごもちょっと……いちごと桃は多めに。私は無邪気に食べた。食べまくった。フルーツは甘い野菜だと思っていたので、そのあとにアイスを食べることもあった。みんなと分け合って、これだけ?と思うときもあったけれど、大人になってフルーツの値段を知った。季節のフルーツを食卓に並べることの難しさと、母や父の愛を知った。

そして、フルーツは食べすぎたら太ってしまうのだと知った。

「ちょっと太ってきたし、フルーツだけ多めに食べとく」
と言ったら、母に、
「いや、フルーツは太るよ」
と言われ目が点になったあと、調べたら本当だったのだ。

フルーツは太る。
というより、フルーツにもカロリーはあることを知った。ずっと、ゼロキロカロリーの寒天や、キャベツやレタスと同じ位置にいたのに。

最近はお財布事情的にもなかなかフルーツは食べられず、じわじわと甘いもの、特別なもののカテゴリに移りつつある。よかった。

けれどまだ、バナナジュースやりんごジュース、オレンジジュースのラベルに果汁100パーセントと書いてあればヘルシーな気がしてしまう。それが間違った認識であると、気づけているだけマシなのかもしれないけれど。

実は今改めて調べてみたら、いちごは1粒35キロカロリー程度だった。2粒程度をじんわりと味わって食べるいちご飴は、やっぱりヘルシーなんだ!と考えて、すっかり飴の存在を忘れていたことに気づく。

飴は、ちょっとまだ言い訳を思いつかない。


今日も私はいちご飴、食べたい。

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