15:プロポーズ&入籍編
テレビでは、いつの間にか「ゆく年くる年」の除夜の鐘が鳴り響いていた。私達の1月1日はあっけなく、はじまった。
「初詣、いく?」と、なんとなく散歩がしたくなった私が言うと、
「いいよ。そのまえに、東京タワー見てみない?色が変わってるかも。」と、ゴウキさん。
たしかに。イベントにあわせて色が変わる東京タワー。当時、私たちが住んでいたマンションからは、東京タワーが良く見えた。
色違いのアウターを羽織って、マンションの屋上に上がってみることにした。
屋上のドアを開けるとビュンと風が吹いた。寒い。
私たち以外は誰も居なく、空気は澄んでいて、星が少し見えた。
しかし、東京タワーはいつもと変わらず赤いまま。
「(東京タワー)なんともないね。」
予想が外れて残念・・・。でも、空を見上げると月が見えた。満月に近いが、まだ満ち満ちていない月。
2人で月を見上げた時、ゴウキさんが私の手を握って言った。
「月が綺麗ですね」
***
私はその時、学校の授業で習った、夏目漱石のお話が頭をよぎった。
夏目漱石が英語教師をしていた時、生徒が "I love you." を「我君ヲ愛ス」と訳したところ、「日本人がそんな台詞を口にするだろうか?『月が綺麗ですね』と言えば、それで伝わるものだ」と言ったそうな。
***
この話が好きだった私。以前2人でこの話をしたことはなかったけれど、ゴウキさんに「月が綺麗ですね」と言われた私は、意味がすぐにわかった。そして、
「月は前から綺麗でしたよ」
と返した。(我ながら、笑点だったら座布団一枚の切り返し!)
「私はあなたを愛しています」「私は前からあなたを愛していましたよ」
月をみながら、2人の気持ちが通じ合った瞬間だった。
ゴウキさんは、私の返事を聞いてニヤリと笑い、
「知ってたんだ」
と言った。
私もニヤリと笑って、
「知ってたよ」
と言った。
そして、ゴウキさんはゴソゴソとアウターのポケットに手を入れて、小箱を取り出した。
まさか!
「意味が通じてよかった。これが本当のプロポーズだよ。」
そう言って、小さな箱をあけて私に指輪を見せてくれた。
「うそ!!!結婚指輪は1月1日に間に合わないはずじゃ・・・!」
「レジのお姉さんには間に合わないって言われたけど、あの後マルコムベッツさんに直接メールして、1月1日にプロポーズしたいから、ってお願いしたら、間に合わせてくれたんだよ!」
何それ!!!凄すぎる!!!
感動の涙。。。
映画で見たようなシーンが、自分にも訪れた。
指輪を私の左手の薬指にはめながら、ゴウキさんは話した。
「なんでこの指輪を選んだと思う?」
「え?デザインが気に入ったからではなく?」
「それもあるけど、プロポーズは、なくならない場所でしたいって前に言ったでしょう?」
「言った!でも、それがマンションの屋上とは思わなかった!」
「マンションの屋上というより、【月の下】ってことだよ。どこに行っても、月の下はなくならないでしょう。だからこの指輪も、内側が金で満月に見えるデザインがいいなっておもって決めたんだよ」
なんと!!!
全てが繋がっていたのか。。。なんて粋な演出。。。
きっとこれから先、この指輪や月を見るたびに、この日のプロポーズのことを思い出すんだろうな。
幸せだな。。。
そして、辛いことがあっても、この日のことを思い出して2人で乗り越えていこう。そう思った。
***
仮眠をとって、朝。
早朝の美容院で髪を結ってもらい、実家に帰って母に着物を着付けてもらい、婚姻届を出しに行き、その足で、おじいちゃんのお墓があるお寺に、結婚の報告へ行った。
そこで妹が記念の写真を撮ってくれた。
レトロで可愛い母の着物を着て、この写真はとても素敵な思い出になった。
***
以上!
第二章:二人のこと 〜出会いから結婚までの物語〜
でした!
長々と15回に渡って書いた物語。
14話まではコンスタントに更新していたけれど、最後の15話で集中力が切れてしまい、完結するまでに時間がかかった。
しかし、そのおかげで読んでくれている方の感想も聞くことができた。
これを読んで、婚活を始めた人、恋人ができた人、結婚を決意した人、辛いことがあった時に思い出して乗り越えられたという人、海外で日本語の勉強中に読んでくれた人。
様々な人が読んでくれていたんだなと感慨深い気持ちになった。
そして、私はエッセイを書く事が、結構好きなんだなということも認識した。
さくらももこが大好きな私。
初めて読んだ漫画はちびまるこちゃん。
そんなさくらももこの影響を大きく受けて、日常生活のドタバタをエッセイで残していくことは楽しいなとおもった。
***
第二章が完結した今は、2020年1月。結婚して丸3年が経った。
4年目に突入する1月1日に、ゴウキさんは私にピアスのプレゼントをくれた。
ピアスを開けるのが怖くて、34年間あけずにイヤリングで過ごしてきたが、お気に入りのイヤリングをことごとく落として無くして落ち込む私。
でも、ピアスを開ける勇気が出ずに、グズグズしていた。
「あけたいけど、こわいな〜どうしようかな〜」
そんな風に何年も二の足を踏んでいる私に、
「大事な日のプレゼントがピアスだったら、勇気を出して、あけるしかないでしょう^^」
そう言って背中を押してくれたゴウキさん。
私のことをちゃんと理解してくれて、必要な時に助け舟をだしたり、背中を押してくれる。
そんな最高のパートナーのゴウキさんに感謝。
日々、感謝しかないよ。
***
2章で、めでたく結婚した2人。
その後、「てとてと」という、おもてなし夫婦ユニットを結成することになるのですが、、、3章では「夫婦で働くこと」や「喧嘩」について書いていけたらいいなぁと思っています。
でも、いつ書き始めるかわかりません!w
筆がのった時に書きますので、よかったらまた、お会いしましょう^^
読んでいただきありがとうございました!
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