3.告白後の大惨事
来週まで待てない
初デートの日、初めて作ってもらったご飯がとても美味しかった。
お気に入りのご飯屋さんを見つけたような気持ちで、ゴウキさんのご飯がまた、無性に食べたくなった。
週末に千葉へ遊びにいく約束をしていたけれど、水曜日あたりで私は我慢できなくなり、初めて会った日から3日しかたっていなかったけど、「今日、ご飯食べに行ってもいい?」と連絡をした。
17時が定時の仕事をしていたゴウキさんからの返事はすぐにきて、「いいよー」だった。
恋愛になると、私は相手の気持ちより自分の気持ちを優先してしまう。(こんなにすぐ、しかも平日の夜に突然遊びに行きたいと言って、引かれないだろうか?)そんな心配は一切しない。
自分がやりたいように行動して、気持ちを伝えて、それで引かれたら、それまで。合わなかったんだと思えばよし。
ゴウキさんには、引かれることなく受け入れてもらえたみたい。嬉しかった。
これは、ゲームの世界なのか!?
前回同様ゴウキさんは、千葉駅まで青いミニクーパーで迎えに来てくれた。駅から家までの車中、「もうご飯はできてるよ。ちなみに、ご飯がいい?お風呂がいい?」とふざけて聞いてきて、私は悶絶した。
男性にこんなこと言われるとは。幸せの極み!こんなセリフ、携帯ゲームでしか言われたことがない。なんか本当に素敵な人に出会ってしまったと思い、秘密の日記に、この出来事についてメモをしておいた。
3回目は突然に
突撃した数日後、私は会社の同僚と先輩を家に呼んで、晩御飯を食べながら、ゴウキさんの事を話していた。
二人は、そんな素敵な人になぜ彼女がいないのか?何かものすごい爆弾を抱えているのでは?と、ふざけてからかった。
私も、確かになぜゴウキさんに彼女がいないのかは気になって、それは確認済みだった。片思いの人はいたけど、うまくいかなかったそうで、もう10年くらいちゃんと付き合った人はいないとのこと。
そんなもんかー。と思っていると、ゴウキさんからLINEにメッセージが来た。
「仕事で近くに来てます。今からお家に遊びに行ってもいい?」と。
わお!!!このスピード感。まだ出会って数日しかたってないのに、こんなに距離って縮まるもんなんだ!私は嬉しかった。
同僚が家にきているけど、問題ないとのことで、ゴウキさんはすぐにやって来た。そして、私の先輩を○○ちゃんと呼び、あっという間に仲良くなってしまった笑
初めて会う人とも、すぐに意気投合してしまう。そんな様子も、私は嫌ではなかった。
聞けば、学生時代に昼はスタバで、夜はBARで4年間も働いていたとのこと。なるほど、このコミュニケーション能力の高さはそういう背景があったのか。と、感心する間も無く、なんだかものすごいオシャレなカクテルを家にあるお酒とフルーツで作ってくれた。
どこまで多彩な人なんだ。奥が深すぎる。私はもっともっと、ゴウキさんを知りたくなった。
明日も仕事が早いからと、数時間お話をしてゴウキさんは帰って行った。
疑問
果たして二人は、付き合ってるの???
その場に残された3人は疑問に思った。私もわからなかった。今日で会うのは3回目。でも付き合いましょう。という話はまだしたことがなかった。でも毎日メールもやり取りしているし、気軽に家にも遊びに来ている。
次のデートは、8月1日の予定だった。
なんか記念日にもちょうどいい!この日に告白してみよう。私はそう決めた。
告白のハンバーグ
待ちに待った8月1日がやって来た。
この日ハンバーグを作ってもらう約束をしていた。「俺のハンバーグはマジで美味いから。コーヒーゼリーを入れるんだよ」そんな事を言われたら、もう期待するしかない。
コーヒーゼリー?(温まると肉汁のようジュワーとなるらしい。)それも驚いたけど、ソースが4種類出てきたことに私は驚いてしまった。自宅のハンバーグでソースが4種類もでてくるものなのでしょうか?しかもハンバーグは熱々の鉄板で出て来た。これ、家?
料理男子のレベルを越えている。。お父さんがシェフとはいえ、完全に趣味でやる料理のレベルではないな。。
でもまあ、それは置いておいて、、、
ハンバーグを食べながら、私はちょっと緊張しつつこう言った。
「あのさ、私、ゴウキさんが好き!付き合いたいなって思った。」
すると、ゴウキさんは目を丸くして
「あれ?そっか。もう付き合ってると思ってた!」
そう言われた。
何それ!私が言わなかったら、ずっと言わないで付き合ってるつもりだったのか!それはない!ずるい!そう思いながらも、ホッとした。とても嬉しかった。両思いってやっぱり嬉しい。
それと同時に、なんだか急に私は不安な気持ちになった。
こんなに美味しいハンバーグを作れるゴウキさん、そして4種類のソースまで。掃除機をかけるときは、椅子をテーブルの上にあげるし、雑巾掛けをするほど綺麗好き。洗濯物の畳み方も、私より上手だった。
私はゴウキさんと付き合って、楽しいことばかりだけど、ゴウキさんは私と付き合っていいことはあるのだろうか?
告白にOKと言われた途端に、なんだか急にこんな事が頭に巡ってしまい、私はついワインをガブ飲みして、感情が溢れ出て来てしまい、「付き合ってるって言われたけど、私は何にもできない〜〜〜〜〜わぁぁ〜〜〜〜」と、泣き出してしまった。「ゴウキさんは、なんでもできる!でも私は、なんにもできない!!!わぁぁぁぁ」と、私は我を忘れて子供のように号泣していた。(友人や家族の前では見せない、私の素の姿。好きな人の前でだけ子供に戻ったように素直になれるのだけど、これは、やりすぎたw)
でも、その様子を見て、笑い出すゴウキさん。
そして、飲みすぎて気持ち悪くなり、私はトイレでゲロゲロ吐いた。
付き合って初日。私は醜態を晒してしまった。
でも、なぜか嫌われなかった。
ゴウキさん曰く、「最初が最低だから、ここから上がるしかないね。」とのこと。
不安になったのは、酔っていたせいだ。
私はたまたま白馬の王子様をゲットしてしまったラッキーなお姫様なのだ。という風に全てをいいように受け入れて、この状況を楽しもうと思った。自己ブランディングを思いっきり頑張ってきたおかげで、少しだけついた自信により、何にもできない自分を卑下しすぎずにすんだ。
ゴウキさんも、このちんちくりんの、美味しいと言ってご飯をたべるだけの私を好きだと思ってくれている。もうそれだけでいいやと思った。
それから、8月1日はハンバーグ記念日ということで、毎年一緒にハンバーグをつくって食べるようにしている。
もう4回、このイベントを迎えたが、ワインを飲みすぎてゲロゲロ吐いたのは、この時が最初で最後だ。
次回、半年間の幸せな日々。
ちょっとのろけ話も多めですが、その後、大事件が待っているので、暖かく見守ってください。
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