アルコール依存症の女 再び酒浸り
バーは誰でも客として入れるお店ではなかった。一見さんお断り、というわけではないが基本はオーナーの知り合い、同級生、客からの紹介で訪れる人がほとんどだった。
私はそんなバーで時給1000円で雇われることになった。福利厚生として店の中の酒は何でも好きなだけ飲んでもよしとされた。
この頃、昼間の仕事がメインの私は平日は禁酒を課していた。昼間の仕事にもう穴は開けたくなかったからだ。
客から勧められても「明日朝早いんで、すいません」と丁重に断った。
しかし、こういった際に必ず掛けられる言葉がある。「1杯ぐらいええやん」
そして私はいつもその言葉に負けてしまう。
気づけば日本酒まで飲んで、終電間際で帰宅するようなことも徐々に増えていき、週末は常連客と店で飲み終わえたあと、更に別の場所で朝方まで飲んだ。
帰宅後はお決まりの1人缶チューハイタイム。
やばい。また酒浸りの生活に戻ってる。
まずいなぁ。そんな気持ちを抱えながらお昼の仕事に出勤し、新聞を読んでいると「 アルコール依存症になった記者」というタイトルの連載に目が止まった。
アルコール依存症になってしまった記者が自分自身で病気の経緯や家族や周りの反応などを振り返り、10数回に渡って書く連載ものだった。
齧り付くように読んだ。
私と同じ病気の人が記者にもいるなんて—。
読み終えたあと、迷いもなくその記者へメールを送った。
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