水 #6 ショートショート 「ニャー吉の夢と目標」
ニャー吉:せんぱーい。
タマ先輩:おう。なんだよニャー吉。
ニャー吉:夢とか目標ってやっぱり持たないと駄目なんすかね?
タマ先輩:何だ突然まともなこと言い始めて…また拾って悪いもん食ったか?
ニャー吉:シャーーっ。拾い食いはしてないっす!! まあ、昨日道端で魚がきれいに落ちてたんで迷ったんですがねwww
タマ先輩:…おまえ、いつか食うな…絶対食うと思うな…。
タマ先輩:で、なんでそんなこと思ったんだよ?
ニャー吉:いや、昨日職場のクロ先輩が夢や目標についてうっとおしいぐらい語ってきて、それで「ニャー吉のこれからの目標と夢は?」って聞かれたんで、「(。´・ω・)ん? そんなもん無いっす!」って言ったら「だからお前は駄目だ」とかどうとか…。あー思い出しただけでもうっとおしいー。
タマ先輩:まあな。今の世の中じゃ目標や夢が無いと駄目だって風潮があるからな。
ニャー吉:あ~。先輩もやっぱりそう思うんすっか?
タマ先輩:いや、俺はまったく。
ニャー吉:えっ!? 先輩はそうなんですか?
タマ先輩:まあ、俺ももちろん、やりたいことや出来たらいいなってことはあるぞ。でも、別に改めて「これが目標、夢!」みたいなことはないな。
ニャー吉:えー。先輩、俺といっしょじゃないっすか~♪
タマ先輩:まあ、俺とお前が違うところは、お前が流されやすいってことだな。
ニャー吉:えっ!? 先輩と何が違うんです?
タマ先輩:俺はあえて目標や夢を持っていない。
お前は「夢や目標を持ったほうがいいんじゃないか?」って
迷いがあるだろ。そこだよ。
ニャー吉:んーーーん???
先輩は諦めて開き直っているってことですか??
タマ先輩:シャーーッ。
おれはそういう選択をあえてしているんだよ。
お前は選択ができてないんだよ。
ニャー吉:確かに、夢や目標があるって言ったほうがかっこいいですし、モテそうな気がしますよね。
タマ先輩:お前が本当にやりたいことの夢や目標があるならいいけど、
カッコつけるための夢や目標だと持っていても仕方ないぞ。
ニャー吉:えー。形から入るっていうのもダメなんすっか?
これからエレキギターでも始めてバンドでも組もうかと思ってたんっすけど…
タマ先輩:お前、それ完全にモテるためだろ…。しかも今更か・・。。
ニャー吉:!? なんでわかったんです?先輩やっぱりエスパーですか??? 前から怪しいと思ってたんっす。心を読む他に、石持ち上げたり、瞬間移動したりできるんっすか??
タマ先輩:・・・何言ってんだよ…。お前の思考が単純なだけなんだよ…。
ニャー吉:えっ? マジっすか?…
タマ先輩:いいかニャー吉、色々考えることが重要だ。お前が夢や目標を持ちたいなら持てばいいけど、それが自分が出した自分がやりたい結論ならな。まあ、とりあえずは好きなこと、興味があることから始めてみたらどうだ?今のお前だと、何が好きか嫌いかってのがわかってないと思うぞ。
ニャー吉:わかりました先輩!とりあえずエレキギターを見に街にいってくるっす。💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨💨
タマ先輩:おいおいニャー吉~。お前聞いてないだろ~~~
しかも、それはモテたいって気持ちが強いから違うと思うぞ…。
やれやれ、行ったか…俺も今日は帰るか。
【額に手をあてて、少しすると消えるタマ先輩】
【シーンが一転、暗い路地裏】
タマ先輩:…ニャー吉がいつ気づくか…。そう、俺はただのタマ先輩じゃない…。これは任務の一環だ…。
【タマ先輩、スーツ姿で暗い影に溶け込む】
【エンディング、ニャー吉がエレキギターを抱えて歓喜するシーンに戻る】
ニャー吉:よっしゃー!これでモテモテ間違いなしっす!!
【でも、その背後にはタマ先輩の影が…】
おしまい