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PDCAと高速PDCA
みなさんはPDCAをどのように回していらっしゃいますか?
こちらで事例研究などをとおしてPDCAを回すポイントについて整理してみました。
ぜひ、ご覧ください。
PDCAとは
PDCAは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の プロセスを繰り返して、商品、サービス、ブランドなどのクオリティと生産、販売、マーケティングなどのオペレーションや運用を継続的に改善していく方法です。
ビジネスだけでなく、勉強、スポーツ、資産運用など様々なもので実施できます。
Plan:実績や予測などをもとに計画を作成する
Do:計画に沿って行動する
Check:行動の進捗が計画に沿っているかを評価する
Action:実施が計画に沿っていない部分を調べ改善する
高速PDCAとは
それでは高速PDCAとはどのようなものでしょうか?
「PDCAを速く回すこと?」
ほとんどの方はこのように認識しているのではないでしょうか。
高速PDCAの本質をくわしく解説している名著をご紹介します。
著者の三木 雄信氏はソフトバンク社長室長として孫正義氏のもとで様々な実績を積み上げてこられた方です。
孫正義氏との様々な触れ合いをとおして高速PDCAの土台を構築しました。著者は、孫社長氏の仕事のやり方を徹底的に分析した結果、次の特徴があると分析しています。
目標へのこだわりが異常に高い。
目標を達成するために、ありとあらゆる方法を試している。
数字で厳密に試した方法を検証している。
常にいい方法がないかと探っている。
漫然とPDCAを回すのではなく、もっとも速く成果が確認できるものを優先して動いている。
高速PDCAと普通のPDCAの最も異なる点は「5」の「もっとも速く成果が確認できるものを優先して動いている」です。
著者は高速PDCAの考え方を解説するあたって、売り上げに伸び悩むコンビニの例を挙げています。
このコンビニが利用者にアンケートをとった結果、売り上げが伸び悩んでいる原因は商品の魅力不足にあることがわかったそうです。
そこでさっそく新商品を入荷することにしましたが、どんな商品が受け入れられるのか見当もつきません。
そこで手を付けたのはPDCAで売れる新商品を探すことでした。
新商品の一覧から売れそうな商品を1つ選ぶ。
新商品の1カ月の販売目標を立てる。
選んだ商品を売り出す。
1カ月後、新商品の売れ行きを検証する。
売れなかった理由を分析してより売れそうな新商品を売り出す。
2.〜5.のプロセスを繰り返して売れそうな新商品の構成比を上げていく。
こうして売れそうな新商品にあたりをつけていくと、いつかはそのお店の売り上げを改善する新商品が見つかっていきました。
これが高速PDCAの素となる考え方です。
ソフトバンクの高速PDCA
ソフトバンクではこの考え方に次のような工夫を加えて、さらに高速に確実にPDCAを回しています。
新商品の1カ月の販売目標を決める。
1カ月の販売目標から逆算して1日の販売目標を立てる。
新商品のリストを作り、1カ月と1日ごとの販売計画を立てる。
リストに挙がったすべての商品を同時に販売する。
毎日、1日の目標を達成できたか検証する。
検証をもとに、商品の並べ方、見せ方などを毎日改善する。
1カ月後にどの商品が販売目標を達成できるものかを数字で検証する。
1カ月の販売目標を達成できる商品にフォーカスして販売する。
通常のPDCAと具体的に異なる点は次の4点です。
大きな目標(1カ月の販売目標)と小さな目標(1日の販売目標)がある。
1つの商品を順番に試すのではなく複数の商品を一度に試す。
1カ月後に結果を検証するのではなく毎日結果を検証している。
一番すぐれた商品を絞り込みそこに集中している。
コンビニで売れそうな商品は、おにぎりなのか、アイスなのか、パンなのか、飲み物なのか?
もしもコンビニ利用者や周辺住民の属性や行動パターンを詳細に調べ上げる余裕があるなら、ヒットしそうな商品の目星をつけることはできるかもしれません。
しかし、それもあくまで予測であって確証ではありません。
であるならば、最初からひとつの正解を見つけようとするのではなく、売れそうな商品をすべて並べて、何が売れ筋になるのかをさっさと見極めてしまえばいいという考え方です。
また、市場は常に動いているわけだから売れ筋も常に変化します。
高速PDCAを定着させれば、成功する確率を高めつつ市場変化にも対応できるわけです。
この方法であれば、通常のPDCAよりも速いスピードで、なおかつ正確に、どれが主力の商品か判断でき、このPDCAの仕組みの違いがそのまま業績に直結するのです。
大きな目標を立てる。(週、月単位など)
小さな目標を立てる。(1日が原則)
目標達成に有効な方法をリストアップする。
期間を決めてすべての方法を同時に試していく。
毎日、目標と結果の違いを検証する。
検証をもとに毎日改善する。
一番すぐれた方法を明らかにする。
一番すぐれた方法を磨き上げる。
この8ステップが、高速PDCAプロセスなのです。
ソフトバンクは今や8兆円企業です。
これを実現できた理由は、ソフトバンクが高速PDCAを実直に運用したからです。
経営戦略の一般論には、機会と脅威をとらえて、強みと弱み、競合の強みと弱みを分析するという基本論があります。
自分が得意なことを拡大していくというパターンです。
しかしソフトバンクは異なります。
厳密な本業に固執せず、常に優位性を獲得できる可能性のある新しい市場を探し、そこでの優位性を確立するための経営資源を短期間に調達し、一気にナンバーワンを目指すことがソフトバンク流なのです。
つまり、新規事業をどんどんつくっていき、その事業を成長させることで企業規模を拡大していくということです。
確かに、ソフトバンクの事業領域は通信、携帯電話、金融、球団経営、情報発信ポータル、出版、発電、ゲーム、ロボット、半導体など、多くの分野で事業を展開して企業規模を拡大しています。
「将来、どの事業が成長しているのか」ということは誰にもわかりません。
であるならば、できるだけ多くの可能性を考えてそれを実行し、育つものを増やしていく。
これが高速PDCAなのです。
高速PDCAの実行条件
高速PDCAが効果的であることをご理解いただけたと思います。
しかし、誰もがすぐに高速PDCAを回せるようになるわけではありません。
実行条件があるのです。
高速PDCAの実行条件とは
情報力
市場などの一次情報、専門情報、テクノロジー情報などです。
これが無いと計画(Plan)を立てることができません。資金力
高速PDCAを実現するには計画(Plan)を実行(Do)しないと先に進めません。
そして高速に進めて行くためにまず必要なものがまとまったお金です。交渉力
お金で解決できることはたくさんあるでしょう。
しかし、お金さえ払えば何でもできるという訳ではありません。
信用、ブランド、権利、クリエイティビティ、マーケティングなど、人と話をするにあたって優位性にあたるものが必要で、それが他社との差異化ポイントになります。理念
事業が成功しさえすれば何でもいい。
儲かりさえすればいい。
世の中には様々な考え方があるので否定はしませんが、これでは持続的に社会参加していくことはむずかしいでしょう。
まとめ:まず、高速で入手できるもの
さて、PDCAについていろいろとレポートさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。
高速PDCAを始めるにあたり、まず高速で入手できるもの。
それは情報です。
情報は動けば誰でも入手できます。
資金力を高める情報もあります。
情報は時代の流れを見極めてキャッチすることをおすすめします。
会社員の方はご自身のキャリアの高速PDCAも重要です。
ぜひ、お役立てください。
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