ハンドシェイプ”ブランクス編”
わたしはガレージシェイパーをやっています。
※ガレージシェイパーとはガレージでサーフボードを手作りする人のことです。
…と言うことで、サーフボードをつくっていく様子を記録しておきたいと思います。
サーフボード
サーフボードはわざわざつくらなくても、ネットでかんたんに既製品を購入することができます。
昔は安かろう悪かろうという商品もありましたが、最近は安くても品質の良いモノがたくさん提供されています。
量販店でも買えます。
お店のスタッフに相談しながら体格や経験にマッチしたサーフボードを選ぶことができます。
専門的なアドバイスが欲しい方にはサーフショップがおすすめです。
プロに相談してライダーの体格、レベル、スタイルにマッチするサーフボードをチョイスしてもらったり、オーダーでオリジナルボードをつくってもらうことができます。
それぞれメリットとデメリットはありますので、いろいろ比較してみることが良いんじゃないかと思います。
ハンドシェイプ
これからご紹介するのは、わたしのサーフボード工場「a.garage.surf」で、実際にハンドシェイプのサーフボードがつくられる様子の記録です。
これから紹介するサーフボードの製作工程はおおまかに以下の10工程となります。
①ブランクス製作
②アウトラインのカットアウト
③シェイプ
④グラッシング
⑤サンディング
⑥フィン製作
⑦フィン立て
⑧リーシュプラグの設置
⑨ホットコート
⑩ボリッシュ
ひとつづつ小出しに記録していきます。
また、適切な写真があったりなかったりしているので、わかりずらいところがあるかと思います。
イラストを書いたりしてがんばりますのでご容赦ください。
今回の作品
ちなみに完成形はこちら。
5.10(178.8cm)×21.9/16(56.7cm)×2 5/8(6.6cm)
オリジナルデザインのツインフィッシュです。
お客様がお持ち込みのデザイン画を忠実に再現しました。
ファットなフォルムがユニークです。
映画Big WednesdayのBEER SURFBORDのデカールが渋い。
ノーズ、テールともにワイドで、ゆったりクルージングする感じですね。
ブランクス
ブランクスはサーフボード本体の基礎部分で、芯材であるストリンガーを中心にフォームを貼り合わせてつくります。
下の写真がストリンガーとフォームです。
ストリンガーはヒノキの板をプレナーという電動カンナで削り出しています。
一般的には桐やバルサ合板などが使われるようですが、軽量、柔軟性、耐水性、美しさからヒノキをチョイスしました。
ストリンガーの製作にはサーフボードの性能に重要な影響を与える以下の要素が関係してきます。
レングスと呼ばれるサーフボードの長さ、ロッカーと呼ばれるサーフボードの反り具合、サーフボードの浮力に影響するストリンガーの厚み、サーフボードのしなりに影響するストリンガーの幅。
これらを考慮しながらストリンガーを設計し、電動カンナで削り出していきます。
レングスは5´10フィート(177.8cm)、ストリンガーの厚みは2 5/8インチ(6.6cm)、ストリンガーの幅は反発性を強めて1.2cmの仕様にしました。
ロッカーはノーズ、テールともにローロッカーとし、かんたんにテイクオフできるよう意識しています。
フォームはEPS(Expanded Poly Styrene)と呼ばれる発泡スチロールをチョイスしました。
従来はPU(ポリウレタン)が主流でしたが、環境に良くないことを発端に大手メーカーであるクラークフォームの廃業したことで、市場に流通しなくなり、環境に配慮されたEPSが主流になってきたという業界の背景があるようです。
フォームの成型はPUの方がやりやすいのですが、PUフォームそのものを調達できる事業者が見つけられないこともあり、EPSでがんばろうということにしました。
EPSの方が軽量というメリットもありますので。
サーフボード用ブランクスとして整形済みのものは、日本供給してくれる商社があるのですが、僕はゼロベースからつくることにこわだっていて、素材そのものから調達して加工しています。
そして、フォームでストリンガーを挟むように、接着し、1枚の板にしていきます。
接着剤は酢酸ビニル樹脂を使用しています。
ストリンガーとフォームの間に隙間が空かないようにまんべんなく接着剤を塗布し、均一に貼り付け、ベルトで固定して24時間乾燥させます。
そしてベルトをほどいた状態が下の写真です。
今回は接着剤の付きが良くて、多少、しならせても問題ありません。
たまに、接着の弱い箇所があって、補強したり、やり直したりすることもあるんですよね。
ブランクスの完成です。
うまくいきました。
次回は、アウトラインのカットアウトの工程に進んでいきます。
a.garage.surfのおすすめ
トライ・クアッドどちらでもセッティング可能な5プラグを装備。
!クラシカルなデザインでスタイリッシュな《大人のサーフボード!》
センター+4プラグでフィンセッティングのバリエーションが豊富。
ロッカーが抑えてある為早めのテイクオフが可能です。
幅広のアウトラインが特徴的なミッドレングス・フィッシュのソフトトップサーフボード。
ワイドなシェイプが初心者にも安心の安定感を、テールエリアの薄めレールとクアッドフィンが経験者にも楽しいターン性能を楽しめます。
初心者から経験者まで、幅広く楽しめる汎用性の高いサーフボードです。
ケース外寸サイズ:長さ/約202cm、幅/約60cm
パフォーマンス系の細めのショートボード/6’0” まで
やや幅広な小波用ショートボード/5’10” 程度まで
プロテクションパッド: 5mm
ハンドシェイプ記事一覧
これまでにアップしたハンドシェイプの記事です。