【徒然草考：第百五段】白い恋人達
徒然草を読み解きつつ人生のたしなみを学びなおす「徒然草考」。
第百五段をお届けします。
第百五段：白い恋人達
原文
※古文体が苦手な方は読み飛ばして現代語訳におすすみください。
北の屋蔭に消え残りたる雪の、いたう凍りたるに、さし寄せたる車の轅ながえも、霜いたくきらめきて、有明の月、さやかなれども、隈なくはあらぬに、人離れなる御堂の廊に、なみなみにはあらずと見ゆる男、女となげしに尻かけて、物語するさまこそ、何事かあらん、尽きすまじけれ。
かぶし・かたちなどいとよしと見えて、えもいはぬ匂のさと薫たるこそ、をかしけれ。
けはひなど、はつれつれ聞こえたるも、ゆかし。
車の轅（ながえ）：牛車に牛をつなぐ二本の長い取っ手。
現代語訳
※著者の個人的な解釈による現代語訳です。
北向きの屋根に残る雪が、まるで時が止まったかのように静かに凍り付いている。
その下で、牛車の取っ手に降りた霜が、朝日を浴びてきらきらと輝いている。
冬の静寂の中に、微かな光が差し込む。
明け方の月は、まるで息を潜めるように、時折雲に身を隠す。
そんな静かな朝の片隅で、恋人たちは人目を忍ぶようにお堂の廊下の柵に腰掛け、ひそひそと言葉を交わしている。
何を話しているのだろうか。
永遠に続くかのように思える二人の会話は、他愛もない世間話かもしれないし、互いの未来について語り合っているのかもしれない。
女の横顔は、柔らかな光を浴びて美しく輝き、ふくいくとした香りをあたりに漂わせる。
二人の話し声は小さく、しかし温かく、静かな朝の空気に溶け込んでいく。
その光景はまるで一枚の絵画のよう。
凍てつく寒さの中で、二人の間には温かい空気が流れている。
白い恋人達、それから
第百五段は、冬の朝、静寂の中で愛を育くむ恋人達をドラマチックに描いています。
とても素敵な描写ですね。
さて、勝手ではありますが、第百五段に少し付け足してみたくなりました。
そして春へ
やがて、やわらかな太陽の光が辺りを照らし、雪解けの音が聞こえ始める。
屋根の雪がゆっくりと溶け出し、地面に落ちる。
その音は、まるで冬の終わりを告げているよだ。
恋人達は、名残惜しそうに言葉を交わし、やがて立ち上がって別々に歩き出す。
残されたのは、溶け残った雪と、朝日を浴びてきらめく霜。
そして、二人の間で交わされた温かい言葉の記憶。
それでも、二人の心には、きっと小さな春の息吹が芽生えていることだろう。
雪解けの音は、冬の終わりを告げると同時に、新しい始まりを予感させている。
それは、恋人たちの未来もまた、新たな章を迎えようとしているのである。
あの冬の朝、分かれた白い恋人達はそれぞれの道を歩き、それぞれの色に彩られていく・・・。
あなたなら、どんな物語を付け足しますか？
終わりに
お付き合いいただきありがとうございました。
徒然草を題材に、あれこれ想いを巡らせるのは実に楽しいですね。
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最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
こちらの情報がお役に立ちましたらうれしいです。
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