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【徒然草考:第七十九段】謙虚さと用心深さ

徒然草を読み解きつつ人生のたしなみを学びなおす「徒然草考」。
第七十九段をお届けします。


第七十九段:謙虚さと用心深さ

原文
※古文体が苦手な方は読み飛ばして現代語訳におすすみください。

何事も入りたゝぬさましたるぞよき。
よき人は、知りたる事とて、さのみ知り顔にやは言ふ。
片田舎よりさし出でたる人こそ、万の道に心得たるよしのさしいらへはすれ。
されば、世に恥づかしきかたもあれど、自らもいみじと思へる気色、かたくななり。
よくわきまへたる道には、必ず口重く、問はぬ限りは言はぬこそ、いみじけれ。

現代語訳
※著者の個人的な解釈による現代語訳です。

何事も、よく知らないふりをしている方が良い。
善良な人は、知っていることでも、得意げに話したりはしない。
それに対して、あらゆることに詳しいような顔をして、得意げに話す人もいる。
見ていて恥ずかしいと思えるような人も、当の本人は、自分は偉いと感じており、また頑固である。
とかく、よく知っていることは用心して語らず、聞かれない限り話さない方が良い。

謙虚さと用心深さには意味がある

第七十九段は、知識や教養について、謙虚な態度を心がけることの大切さを説いています。
そして、知識をひけらかすことは、往々にして反感を買うこがあるので気を付けましょうとアドバイスをしています。

出しゃばらず、人様の話によく耳を傾け、質問に対して、余計なことを混ぜ込まずに簡潔に返す。

同感です。
何事も上には上がありますし、罠が仕掛けられていることだってある。
謙虚さと用心が肝要。
これに尽きますね。

参考エピソード

第七十九段に関連する個人的なエピソードをご紹介します。
勤め人であった頃、社員の昇格試験の運営をしていたことがありました。
以下はそこでのお話です。
昇格試験の最後に役員面接がありました。
面接を担当する役員にはそれぞれ役割があり、司会者、共感者、圧迫者、観察者・・・などが設定されていました。
これは、対象者のストレス耐性、言動一貫性、有事のふるまいなどを、面接の中で再現させて、検証することを目的としていました。
当然、罠もいくつか仕掛けられていました。
その罠とは、対象者が聞かれてもいない得意分野の話を始めたら、頃合いを見計らって意地悪な質問の集中砲火を浴びせ、つじつまの合わない点を深堀りし続けるという底意地の悪いものでした。(もっと、他の方法をあるだろうに・・・)
私は、何人もの対象者が、圧迫され、翻弄され、我を失い、罠にひっかかって撃沈されていく様子を目撃しました。
そんな中、飄々と合格していく人もいました。
そうです。
出しゃばらず、人様の話によく耳を傾け、質問に対して、余計なことを混ぜ込まずに簡潔に返す人でした。

第七十九段。
今、読み返すと感慨深いものがあります。
これから昇格試験を受ける方は、お気をつけください。

終わりに

お付き合いいただきありがとうございました。
徒然草を題材に、あれこれ考えてみることは実におもしろいですね。
徒然草を読んであれこれ考えてみたいという方におすすめの書籍をご紹介させていただきます。

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最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
こちらの情報がお役に立ちましたらうれしいです。

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