【徒然草考:第六十三段】いにしえのセキュリティ
徒然草を読み解きつつ人生のたしなみを学びなおす「徒然草考」。
第六十三段をお届けします。
第六十三段:いにしえのセキュリティ
原文
※古文体が苦手な方は読み飛ばして現代語訳におすすみください。
後七日の阿闍梨、武者を集あつむる事、いつとかや、盗人にあひにけるより、宿直人とて、かくことことしくなりにけり。
一年の相は、この修中のありさまにこそ見ゆなれば、兵を用ゐん事、穏かならぬことなり。
後七日:一月八日から一週間、国家安泰、五穀豊穣を願う仏事。
阿闍梨:衆僧を率いる導師。
武者:僧侶を警備する武士。
宿直人:警備番。
現代語訳
※著者の個人的な解釈による現代語訳です。
後七日の儀式で、導師様が兵を配して警備するのは、いつだったか、儀式の最中に、強盗に襲撃されたからである。
大切な儀式ではあるものの、おびただしい数の兵に囲まれて催すとなると、やはり、物々しく、穏やかでなかろう。
穏やかならぬセキュリティの模様
徒然草の第六十三段では、後七日の儀式における穏やかならぬセキュリティの模様を伝えています。
穏やかならぬセキュリティとは、いったいどんな感じだったのでしょうか。
勝手に想像してみました。
私の勝手な想像です。
おびただしい数の僧兵の面々。
強そうです。
僧兵のうんちく
僧兵とは、僧侶でありつつ武芸を修めた人々。
彼らは、寺院の護衛や領地の防衛、さらには戦国時代の合戦など、様々な場面で活躍しました。
当時の寺院は、文化や経済の中心的な役割を果たしていました。
そのため、盗賊や敵対勢力からの攻撃に備え、寺院自身で武力を保持する必要がありました。
また多くの寺院は、広大な荘園を所有しており、荘園民の保護や年貢の徴収、さらには他の荘園との紛争に対処するために、僧兵の存在は不可欠でした。
【参考資料】湯の山温泉-僧兵まつり
生の僧兵を見学できるお祭りをご紹介します。
たいまつを立てた重さ約600キロの火炎神輿を僧兵装束の男たちが担ぎ、湯の山温泉街約2キロを練り歩きます。
まさに大迫力です。
終わりに
お付き合いいただきありがとうございました。
徒然草を題材に、あれこれ想いをめぐらすことは、ことのほかおもしろいですね。
徒然草を読んであれこれ考えてみたいという方におすすめの書籍をご紹介させていただきます。
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最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
こちらの情報がお役に立ちましたらうれしいです。