色褪せることのない、たったひとつの景色
小さな君が、その存在を主張するように泣いた瞬間。
そのときの、君の最高にしわくちゃな泣き顔はを、じっと見つめたのを覚えている。
あれから数年。
まだ私と君の親子の旅は続いている。
笑顔や泣き顔、寝顔。
いろんな君の表情を、一番近くで見てきた。
君の小さな瞳にうつる景色が、色とりどりの優しい世界でありますように。
そう思いながら、私は小さな君の手をしっかりと握った。
私が今まで見てきた小さくてまぁるい世界の景色。
その中で一番心に残っているのは、やっぱり君がこの世界に生まれたときのあの最高にしわくちゃな泣き顔だ。
あれほど素晴らしく、愛おしい景色に、代わるものは何もない。
世界の絶景はもちろん美しいし、実際に見れば、その美しさに感動するだろう。
でも、君のあのときの泣き顔は、あの一瞬だからこそ、最高の「景色」なのだ。
私にしか味わうことのできなかったあの「景色」を、私はずっと忘れない。
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