お母さんがほしい言葉。
我が家の長男は、いわゆる『発達障害のグレーゾーン』と呼ばれる子です。
発達障害は、どこからが障害になるかの線引きが曖昧で、特にグレーゾーンの子達は見方によっては個性、味方によっては障害となります。
長男は生まれた時から寝ない赤ちゃんで、抱っこをしたままソファーで夜を明かした事が何度もありました。
少し成長してからは、寝ない・食べないに加えてこだわりの強さや癇癪が目立ってきて、私はテレビから流れる、虐待の末、子供を殺めてしまったお母さんのニュースを他人事として捉えることができなくなっていました。
『紙一重だな。きっと私も容易にあっち側にいってしまう。』
そういう切羽詰まった危機感が常にありました。
半年ほど前、息子が発達障害のグレーゾーンであることがわかり(海外在住の為、発達検査は受けていませんが、おそらくそうであろうとの診断)、その時真っ先に思った事は、
『私が母親に向いていない人間だから大変だったのではなく、彼の特性ゆえに育てにくかったのか』
ということ。
【腑に落ちる】という表現がピッタリでした。
診断を受けて、月に一度、主治医の先生と息子の様子について話をする事になったのですが、その時間は私にとって何よりも癒やされるひとときでした。
なぜなら、先生は私が話すとりとめのない話にも、人に笑われてしまうほどのちっぽけな悩みにも丁寧に耳を傾け、
『お母さん、よく頑張っておられますね』
と労ってくださり、
『解決はできないかもしれませんが、一緒に考えていきましょう』
と励ましてくださるのです。
育児って本当に孤独です。
だからこそ、それぞれの事情を抱えて必死で頑張っているお母さん達に
『よく頑張ってるね』
と声をかけてくれる人が一人でもいたならば、救われるお母さんって、たくさんいる。
もちろん、お父さんも。
的外れなアドバイスなんていらない。
『昔のほうが大変だった』なんて、育児の苦労話なんていらない。
『お母さん、よく頑張ってるね』
そんなささやかな一言で救われる人がいる。
救われる命がある。
何にもない私だけど、育児でたくさん泣いてたくさん悩んできたからこそ、今同じ苦しみを抱えながら必死で踏ん張っているお母さん達の気持ちが痛いほどわかる。
全てのお父さんやお母さんに
『今までよく頑張ってきたね。今もよく頑張ってるね。』
と心から伝えたい。
この世界が、子どもたちの笑顔で溢れますように。