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【コラム】「文化財を守る意味」をミュージアムグッズ愛好家が考えてみた

浦幌町立博物館の学芸員である、持田誠さんのこちらのツイート、非常に話題になっておりますね。

すごく興味深い問いだと思っています。多くの方がこの問いに反応し、引用ツイートやリプライでご自身にとっての「自分が文化財を守る理由」を述べています。

私個人としては、北海道の地方で育ち、お金も人員もなくさびれゆく郷土資料館が町にポツンとあり、福祉や観光、もっと突っ込めば、北海道胆振東部地震の復興にお金を使うことが現在急務な町で育ちました。ですので、「文化財を守るって、そんなに大事なことなの?」という人の気持ちはちょっと分かる。

「文化」と「経営」の立場の違い

気になっているのは、コメントされている方々の立場の違い。「文化」と「経営」そのどちらに軸足を置いて活動されているのか、そのスタンスの違いによって対応は変わるよなと思った次第。

この「ミュージアムショップは文化と経営の両輪を回す場である」という私の考えは、学芸リカプロ1年目の文献調査で得たものです。

「文化の人たち」は誰を指すのかというと、「博物館(私の分野に引き寄せればミュージアムショップ)にとって大切なのは、文化的意義である」と考えている人たちです。職務でいえば博物館学の研究者や学芸員や館長が多いのですが、まあそれはいったん置いておいて。

一方で「経営の人たち」は、「博物館(ミュージアムショップ)にとって大切なのは、経営的安定性である」と考えている人たち。職務としてはコンサルをご専門にされている方々や、学芸員やショップのスタッフなど…職務自体はあまり関係ないかもとは思っています。とにかく、そのような意識をお持ちの方、そのような意識を持っていらっしゃる立場の方です。

両者の溝を埋めるのは簡単なことではありません。文化の人たちは「文化財を守ることなんて自明なんだから叱り飛ばせや」ぐらいなこと言っちゃうし、もしくは「ご自身にとってなぜ文化財は大切なのか」という、ある種の思い出話しかできない(これ自体は大切なのですが、具体的な説得材料にはならない)。でもそんなもんなんです。立場的に。

個人的には、ここは経営の人たちが頑張るのが大事かな、と勝手に思っています。具体的な説得をする役割を担った方がいいのかなと。

上記のツイートでは観光・地域の教育・地域の政治・雇用などを例に挙げていますが、文化財を守る大切さを、質問者の文脈と伴走しながら解きほぐしていく作業ができる人たちなのではと思っています。

私の大学院時代のボス、北大文学院博物館学講座の佐々木亨先生と、「博物館に来ない人にとっての博物館とは」というテーマでお話もしました。そちらはミュージアムグッズパスポート4に掲載されていますので、ぜひご参照くださいませ。

上記から購入可能です↑この機会にぜひ。

文化財が「自分のもの」になる博物館活動とは

では、「文化の人たち」はどうすべきなのか。

私はよく「博物館を自分ごとにする」という言葉を使うんですね。博物館の収蔵品が「自分のものでもある」という意識、収集・研究・保存・活用の一連の活動が、「自分のためでもある」という意識。来館者にこう思ってもらっている博物館は強い。博物館教育と関連したお話しだと思いますし(門外漢なのでもっと勉強します)、ファン作りと近いのかもしれませんが。

先ほど、「自分が文化財を守る理由」を多くの方がコメントしている、と書きましたが、まさにこの方々は「博物館が自分ごと」になっているのだと思いますし、ご自身の生き方の中に腑に落ちるような形で答えが見つかっているのだと思いました。

ですので、今回「文化財を守らなかったら何が困るのか?」というご質問をされた方や、そのような疑問をお持ちの方においては(ツイートでは「納税者」と書きました)、自分の日々の活動の中から答えを見つけられるように促す、手助けすることが、博物館活動としての根幹なのかもしれないと思っています。文化の人たちは日常的な草の根活動を、時代の動きを敏感に捉えながらやっていくしかない。「文化財を守る?当たり前じゃん!その理由は~」と滔々と「語りたがる」人たちを増やす。

何だよそんなことしか言えないのかよ?とお思いかもしれませんが、ミュージアムグッズでお手伝いできる重要なところだと思っています。

おわりに

「じゃあ具体的に、ミュージアムグッズにはどんなことができるの?」という問いへの考えは、次回以降にまとめようかしら。まだまとまっていませんが。

ミュージアムグッズでできること、もしくは「ミュージアムグッズ愛好家」としての自分の活動でできること、を引き続き掘り下げていきたいなと思います。よろしくです。

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大澤夏美
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