【コラム】ミュージアムグッズサミットvol.2を終えての所感(長文です)
10月15日に、ミュージアムグッズサミットvol.2が無事に終了しました!!
ゲストの金入健雄さん、開会と閉会のご挨拶をしてくださった、佐々木亨先生、山本順司先生、バックで回してくださったスタッフの皆様、そして何より、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。
とにかくもう事例が豊富なのと、気になるキーワードだらけで、今回も「2時間用意したけど時間足りないな…」という気持ちでいっぱいでした。
主な話題提供の内容
主な内容として、地域に根差したミュージアムショップの事例として、八戸ポータルミュージアム「はっち」や、せんだいメディアテークのご紹介をしていただきました。
また、ミュージアムショップの枠を超えて、東北という地域全体の取り組みとして、「東北STANDARD」の事例を。
そして、これからのショップの役割として、山形ビエンナーレや八戸ブックセンターの取り組み。
そして、新型コロナウイルスの影響がまだ根強い中での取り組みとして、「#tohokuru」の事例をご紹介いただきました。
今回、ご参加いただいた方々の中には「地域性」をキーワードに活動してらっしゃる博物館関係者の方や、モノづくりに取り組む関係者の方が多くいらっしゃいました。ですので、コメント欄や質問がたっくさん!本当にありがたいです。
「均質化」の波に抗う
もうね!うわーっ!痺れたぜ!というキーワードだらけだったんです。今回。そのうちの一つがこの『「均質化」の波に抗う』という、金入さんのお言葉でした。
実は打ち合わせ段階から、今回のミュージアムグッズサミットvol.2には、裏・参考文献がありました。
三品輝起さんの『すべての雑貨』。そして…。
同じく三品さんの著書で、『雑貨の終わり』です。
三品輝起さんは上記2冊の著書の中で、「さまざまな物が雑貨の名のもとに流通し、消費されていくこと」を「雑貨化」と呼んでいるんですね。
金入さんの今回の「均質化」というキーワードも、これにすごく近いお話しだと思うんです。世の中が雑貨化していく中で、工芸や本を事業にしている金入さんは、まさにこの雑貨化に抗っているのではないかと。
どう抗っているのか?というお話しはこの後に割くとして、その「抗い」そのものが、地域とショップとのディスタンスを縮める行為だと思うんですよね。
東北って何?どんな地域?どんな人が住んでいて、皆何を作っているの?という問いがあるとして、そこには確かに生きている「作り手」と「消費者」との関係性があります。そこを丁寧にひも解く店づくりがしたいんだな、というのが金入さんのお話しで伝わってきました。
セレクトをしているつもりはない
もうひとつ!痺れたお言葉がこの、『セレクトをしているつもりはない』というところ。これは、商品を選ぶにあたってどんな基準があるのか?という質問への回答で出てきたんですよね。
セレクトショップって、主従関係があるじゃないですか。選ぶ者と、選ばれる者。常にハイパフォーマンスを求める者と、求められる者。金入さんのお店って、作り手との関係性はそうじゃないんですよね。良い時も悪い時も、常に作り手を支え続けるお店でありたい、そういうスタンスなんだなと。
金入さんのお店作りで心掛けている点として、下記の3つが挙げられました。
(1)職人さんとのチームとしての一体感をつくること。
(2)小売で、消費で地域を支えること。
(3)どんなものを後世に残し伝えるのか?という当事者意識を持つこと。
これはミュージアムショップ作りにおいても、ミュージアムグッズを博物館と共同して作っていく上でも、非常に重要なキーワードだなと思いました。
知即愛のリスペクト
『知即愛』は、哲学者の西田幾太郎の言葉です。地域を深く知ることが即ち、地域への愛につながる。そしてそれはリスペクトになる。とのことでした。
この考え方って、「買い手を育てる」ことにもつながるよなぁ、と私なんかは聞いていて思いました。先ほどの「雑貨化」というキーワードじゃないですけど、「自分たちの地域のことは自分たちが当事者意識を持って考える」ことにもつながると思うんです。金入さんは「小売」という立場からそこにアプローチしているのだなと。地域文化の発展に、自分の立場からどう応答するのか、というところですよね。
これは余談なんですけど、ちょっと前にTwitterで、「美術館や博物館の逆進性」という話題があったんです。
これに対して、このような応答がありました。
金入さんは、「東京が自分たちの地域をセレクトするって、どうなのかな?」という疑問を持ってらっしゃいました。これは私も、すごく思うんですよね。その主従関係というか、残酷さに気づいていないイベントやお店が多くて、すごく辛かったりするんですが。
ここにどうやって抗うか。そういう観点から金入さんの取り組みや、さらに範囲を広げて、ミュージアムショップ、ミュージアムグッズ、博物館の取り組みを見てみると、各地域でそれぞれの立場で頑張る人たちの姿が立ち現われて来るのではないかと思います。
次回以降のご案内
あーーーもっとね!!素晴らしいお話たくさんあったので、皆に見てほしいです!ということでですね、次回のミュージアムグッズサミットvol.3もぜひ見てほしいんです。見てくれた方には、良いことあります。
Vol.3詳細
ミュージアムグッズサミットVol.3
「ミュージアムショップ × 来館者のディスタンス コロナ禍で見えてきた?」
・日時
2020年11月6日(金) 19:00〜21:00
・ゲスト
川上 和歌子 氏(認定特定非営利活動法人 大阪自然史センター 理事・事務局長)
団体のマネジメントから予算管理までの事務局業務を一手に担う。現在は、社会と自然と博物館をつなぐファンドレイジング戦略や次世代を担う後進の育成を推進。
佐藤 いず帆(小樽芸術村 ミュージアムグッズ担当、学芸リカプロ受講生)
主な仕事はミュージアムグッズ販売における数値管理、商品の管理で、企画展に合わせた関連グッズ導入の企画も行う。目標は、小樽芸術村でこれまでに扱いのなかったミュージアムグッズを導入し、これまで以上にお客様に感動をお届けすること。
・ファシリテーター
大澤 夏美(ミュージアムグッズ愛好家、学芸リカプロ受講生)
博物館経営論の見地からおすすめできるミュージアムグッズを紹介。ミュージアムグッズを通じて博物館の魅力を広める活動に邁進している。
・申し込みフォーム
お問い合わせ先
ミュージアムグッズサミット運営事務局
Email: mgs.hokudai☆gmail.com(@→☆)
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それでは引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!!
ミュージアムグッズの薄い本「ミュージアムグッズパスポート」発売中です!