見出し画像

しょくざいのひ。





毎年きっとこう思う。
「ごめんね」
あの日、喜びいっぱいの気持ちになれなかったこと。
「ごめんね」
涙で溺れそうになる毎日を送ってしまったこと。
「本当にごめんね」



あれから二年経っても
後悔は消えず、
前に進む毎日を過ごしつつ
ふと振り返ってみるけど、
どうしても悔いは消えない。



病院のお祝い御膳を涙を一緒に飲み込んだこと。
お祝いのメッセージカードを捨ててしまったこと。
可愛いと思えずいっそこのままと思ったこと。
おかげでしばらく写真も撮れなかったこと。
結構、本気で隠れて暮らそうと思ったこと。
他の赤ちゃんがとっても羨ましかったこと。
搾乳する気になれなかったこと。
何かの間違いだとと思ったこと。
夢であってほしいと願ったこと。
お外に出られないと思ったこと。
働けないと思ったこと。
終わったと思ったこと。
自信がなかったこと。
消えたくなったこと。



それでも何故だか少しずつゆっくり
可愛いと思えるようになりはじめたら
急に全部消したくなったけど、
真っ黒すぎて消えなかった。



時々考えこんでは、
自分の中の差別や偏見を
毎日見せつけられている気がして吐き気がした。
悲嘆に暮れて悲しんで一番醜いのは自分だ。
吐き気がするたび涙が出た。



たくさん泣いたら
いつごろからか吐き気はしなくなって
自分の思いを飲み込むことも少なくなった。
友だちに娘の話ができるようになった。
話してるうちに気持ちの整理ができてきた。
人に伝えることで自分の思考が整理できた。
話せない時には日記を書いた。
書くということは自分を見つめるのに役立った。



それから親の会に入ったり
ダウン症の子を見かけたりした。
話しかけてみる勇気もわいてきた。
新しい友だちもできて、共感が何よりのパワーになった。
家族や旦那ではどうしても得られなかったものが
そこにはあった。



そうするうちに
醜い自分が少しずつ許せるようになった。
めそめそ泣いてもいい。
悲嘆に暮れたとしてもいい。
山籠り計画したっていいじゃないか。
そんなことは
これからきっとつまづくたびに
星の数ほどあるはずだ。



いろんな気持ちになることも
打ち寄せる波のように
引いては寄せて
寄せては引いて
流れに逆らうことなく
この身を委ねられるようになってきた。



それでもやっぱり、
どんなに日々を重ねても、
あの時、喜びいっぱいで迎えられなかったことは消えない。
だから毎年、精一杯のお祝いをしよう。
心からのお祝いで埋め尽くそう。
たくさんの喜びと「ありがとう」を重ねて
あの日の後悔が少しずつ霞んで
いつの日か消えて見えなくなるまで。



さくら2歳の誕生日によせて。
(過去に書いたものです)
#ダウン症 #ダウン症子育て #子育て #染色体異常

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?