息止まり
湖の底に難破船くらい大きなピアノの鍵盤が沈んでいた。その側で何かがゆらゆら揺れていた。鍵盤と比べると余りに小さい。いや、鍵盤が大き過ぎるのか。夏のセーラー服を着た女の子だった。俯いて漂っていた。それから白いワンピースを着た天使みたいな子が現れて、セーラー服の女の子の脇に手入れて抱き上げるように湖面を目指しはじめた。私はその様子をただ見つめていた。「助けようとしてる。違う、違う」と思っていた。湖はとても深く、天使みたいな子は本当にやる気があるのか?と問いたくなる程非力で、結局じたばたともがくだけで終わった。
場面が切り替わる。
修学旅行の最終日だ。朝ホテルの廊下に出るとクラスメイト達で賑わっていた、みんな高校の制服を着て待機していた。「何で?昨日までは私服だったのに。私制服なんて持ってきてない。知らない。またぼーっとして大事な話を聞いて無かったんだ」とりあえずホテルの部屋に戻ろうと思った。しかし部屋はすでに鍵がかけられていて、締め出されてしまった。私の荷物は廊下にばら撒かれていた。何か着なくちゃと思い荷物をかき集めるも、男児の子供服ばかりだった。「もういいや、笑われても恥ずかしくても、もうどうでもいいや別に裸でも。」
そう思っていたら目が覚めた。夢だ。悲しい気持ちの朝。行き止まりなんだ。
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