寒いが口癖になる冬は、抱えきれない幸せで溢れている
寒い朝がやってきた。少し前まであんなに暑い夏が大嫌いで、冬を待ち遠しく感じていたのに。心待ちにしている時間こそ愛おしかったのに。呆気なく、知らぬ間に、すぐ隣に来ているようでちょっと寂しかった。
この時期になると、朝ごはんはあたたかいがスープメインになる。寒い朝、お湯を沸かしてお気に入りの大きなカップに、おいしいスープを入れてかき混ぜて、待つ。
スープを両手で持って、少し熱いのにふぅと息を吹きかけて、冷ますのが好きだ。寒い寒い、と文句を言う口は塞がらないけれど、スープのあたたかみを感じさせてくれるその寒さにさえ、感謝しているのだ。
冬は、あたたかいカフェオレでさえもわたしを幸せにしてくれる。スーパーの特売で、安くなったのを見計っていくつか購入したカフェオレのスティックを、普通のマグカップよりもひとまわりも、ふたまわりも大きめのマグカップに入れる。
沸騰させてすぐの熱いお湯じゃなくて、少しだけ、気持ち置いたくらいのお湯を注ぐ。それをちびちび飲むのが好きだ。
カフェオレに砂糖は入れない。甘い飲み物は苦手だ。できるだけ無糖が良い。ミルクはたっぷり入っている方がいい。
もう一つ、冬の楽しみはおいしい豚汁を飲むことだ。わたしがどれだけ豚汁が好きかと言うと、一日三食豚汁でもいいくらい。それにふわふわで大粒のお米で握ったおにぎりが添えてあると、それはもう、わたしにとっては最大の御馳走なのだ。
どんな立派なフレンチのコースだって、どんな立派なアフタヌーンティーだって越えられない。豚汁とおにぎりは最強なのだ。
あまり外食はしないのだけれど、豚汁とおにぎりのためなら早起きをしてでも食べに行きたい。おにぎりの具はなんでも好きだけれど、できれば味噌がいい。
今年は家でもちゃんと作れるように、おいしい味噌を買おうかなと企んでいる。
冬は、一年で一番幸せが増える時期だ。寒いのもいい。寒いといいながら顔を埋めるマフラーもいい。コートを萌え袖にするのもいい。100円のホットコーヒーもあたたかいスープも豚汁とおにぎりも、わたしを幸せにさせるには、じゅうぶんすぎるものばかりなのだ。
暑い夏と残暑と台風を乗り越えたわたしは、花粉の時期が来るまで数ヶ月、一年で一番幸せな時間を生きていく。